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セネカ 哲学する政治家

ネロ帝宮廷の日々

著:ジェイムズ・ロム
訳:志内 一興

紙版

内容紹介

ブラック上司の下で働きながらものを書く
 19世紀、ローマ市で新たなセネカの胸像が発掘された。それは、それまで知られていたセネカ像とはまったく違った風貌をし、数々の芸術に想を与えた哲学者のイメージを大きく変えることとなった。そもそも、古代ローマ時代でさえセネカについての評価は割れていた。セネカとはいったい何者なのだろうか。
 著述家にして思想家、詩人、道徳家。そして長年にわたり、皇帝ネロの一番の助言者であり親密な仲間でもあった人物。彼はこれまでもっぱら、気乗りのしない政治の世界に引っぱり出された哲学者とされてきた。だが著者は、セネカの政治的経歴を思想家としての自我と同等に、ときには上位に置く。本書は、ローマ皇帝の宮廷ですごしたセネカの生涯を追い、また政治的な陰謀が渦巻く当時の状況を背景に、その哲学的著作をとらえ直す試みである。
 セネカの語る理想は美しく、説得力を持ち、崇高で、時代を超えて偉大な作家や思想家を魅了してきた。だが彼自身、自分が理想どおりに生きてはこなかったことを認めている。命がけの政争のさなか、理想と現実のはざまで苦悩する、生々しい人間セネカがここに現われる。

目次

序章 二人のセネカ
第1章 自殺(1)――四九年以前
第2章 王殺し――四九年~五四年
第3章 兄弟殺し――五四年~五五年
第4章 母親殺し――五五年~五九年
第5章 妻殺し――五九年~六二年
第6章 全燔祭(ホロコースト)――六二年~六四年
第7章 自殺(2)――六四年~六六年
終章 安楽死――六八年、その後

謝辞/訳者あとがき/参考文献/原注と訳注/索引

著者略歴

著:ジェイムズ・ロム
アメリカ、ニューヨーク州のバード大学古典学教授。イェール大学出身、プリンストン大学でPh.Dを取得。ヘロドトスなどギリシア古典についての著書が複数あるが、邦訳は本書が初めて。なお本書は、ニューヨーク・タイムズの「2014年注目の100冊」に選ばれている。
訳:志内 一興
東京大学大学院人文社会系博士課程満期退学 博士(文学)。中央大学他兼任講師。専門は古代ローマ史。著訳書に『ラテン語碑文で楽しむ古代ローマ』(共著、研究社)、『ローマ帝国と地中海文明を歩く』(共著、講談社)、ゲイジャー『古代世界の呪詛版と呪縛呪文』(京都大学学術出版会)がある。

ISBN:9784560084977
出版社:白水社
判型:4-6
ページ数:390ページ
定価:3400円(本体)
発行年月日:2016年04月
発売日:2016年04月25日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:QDHA
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:QDX