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共和国か宗教か、それとも

十九世紀フランスの光と闇

他編:宇野 重規

紙版

内容紹介

シャルリ以後のフランス学へ

 宇野重規・伊達聖伸・髙山裕二編著『社会統合と宗教的なもの――十九世紀フランスの経験』を刊行して、ほぼ五年が経過する。東日本大震災の混乱のさなか日本社会を支える根本的価値の再検討という問題意識から同書は大革命後の十九世紀フランス社会に辿り着いた。
 そこで見出されたのは、まさに〈神々のラッシュアワー〉状況だった。カトリックに代わる新たな精神的支柱を求めて「宗教的なもの」を追いかけた革命後の社会が混迷を深める日本社会と、それこそ結びついた(「宗教」の語源はラテン語の「再び結び付ける」にあるとされる)。
 そこで本書である。続編として『共和国か宗教か、それとも――十九世紀フランスの光と闇』を刊行する意味は果たしてあるのだろうか? この点で大きいのは今年フランスを襲ったテロである。
 シャルリ・エブド事件、そして編集の最終段階で起きたパリ同時テロ事件は、フランスないしは大革命後の「世俗化した」社会の在り方をゼロから問い直させる事件だった。メーストル、シャトーブリアンからジョレス、モースまで、シャルリ以後のフランス学に向けた野心作。

目次

序章 「宗教的なもの」再考――シャルリ事件を超えて  宇野重規

Ⅰ 反動の後で
第一章 二つの宗教の狭間に――ジョゼフ・ド・メーストル  川上洋平
第二章 近代世界という荒野へ――シャトーブリアンと宗教  片岡大右
第三章 モノに魅惑されたリベラル――ミシェル・シュヴァリエ  髙山裕二

鼎談 シャルリ以後の新たなフランス学に向けて 前篇  宇野・伊達・髙山

Ⅱ 共和国の聖人たち
第四章 「普遍史」とオリエント――ジュール・ミシュレ  杉本隆司
第五章 詩人が「神」になる時――ヴィクトル・ユゴー  数森寛子
第六章 「国民」と社会的現実――マルセル・モース  赤羽悠
第七章 社会主義と宗教的なもの――ジャン・ジョレス  伊達聖伸

鼎談 シャルリ以後の新たなフランス学に向けて 後篇  宇野・伊達・髙山

追記――パリ同時テロ事件に寄せて  宇野重規

著者略歴

他編:宇野 重規
1967年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)。現在、東京大学社会科学研究所教授。同研究所で〈希望学〉プロジェクトをリードするほか、『政治哲学へ』(東京大学出版会)で渋沢・クローデル賞、『トクヴィル 平等と不平等の理論家』(講談社選書メチエ)でサントリー学芸賞。『〈私〉時代のデモクラシー』(岩波新書)、『民主主義のつくり方』(筑摩選書)、『西洋政治思想史』(有斐閣)、『社会統合と宗教的なもの』(編著、白水社)他。

ISBN:9784560084809
出版社:白水社
判型:4-6
ページ数:280ページ
定価:2300円(本体)
発行年月日:2015年12月
発売日:2015年12月09日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:QRAX