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白水Uブックス

小悪魔

著:フョードル・ソログープ
訳:青山 太郎

紙版

内容紹介

跳梁する悪魔――ロシア・デカダン派の傑作

 地方小都市の教師ペレドーノフは、町の独身女性から花婿候補ともてはやされていたが、実は出世主義の俗物で、怠惰にして傲岸不遜、生徒の親を唆して子供を笞打たせるのを楽しみにしている最低の男。視学官のポストを求めて画策するが、町の人々が自分を妬み、陰謀を企んでいるという疑心暗鬼に陥り、やがて奇怪な妄想に取り憑かれていく。一方、ギムナジウムの生徒で少女と見紛う美少年サーシャに惚れこんだリュドミラは、無邪気な恋愛遊戯に耽っていたが……。作者が「この小説は巧みに作られた鏡である」と述べているように、ここに描かれた地位に執着し噂に踊らされる人々の姿は、我々自身の似姿でもある。主人公ペレドーノフの名は、ロシア文学において悪徳の代名詞にもなった。20世紀初頭のロシア・デカダン派、象徴主義を代表する作家ソログープが、毒のあるユーモアをまじえて描く頽廃と倒錯の世界。

著者略歴

著:フョードル・ソログープ
1863-1927年。ロシア象徴主義の詩人・小説家。ペテルブルク生まれ。学校教師として働きながら詩や小説を創作。1896年に第一短篇集『影』と長篇『重苦しい夢』を発表。長篇第二作『小悪魔』(1907)が大成功を収め、デカダン派の重要作家としての地位を確立する。他に『創造伝説』三部作(1907-13)、戯曲『死の勝利』(1907)など。象徴的な抒情詩、「かくれんぼ」「毒の園」「白い母」などの死と幻想のイメージに満ちた短篇でも知られる。
訳:青山 太郎
1938年東京生まれ。ロシア文学者。早稲田大学ロシア文学科卒。同大学院修士課程修了。パリ大学東洋語・東洋文化研究所を経て、九州大学言語文化部教授。2002年定年退官。著書に『ニコライ・ゴーゴリ』(河出書房新社)、訳書にナボコフ『ニコライ・ゴーゴリ』(平凡社)、ベルジャーエフ『創造の意味』(行路社)、エラーギン『暗き天才メイエルホリト』(みすず書房)など。

ISBN:9784560072356
出版社:白水社
判型:新書
ページ数:494ページ
定価:2400円(本体)
発行年月日:2021年05月
発売日:2021年05月26日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:FB