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白水uブックス 210

不在の騎士

著:イタロ・カルヴィーノ
訳:米川 良夫

紙版

内容紹介

鎧の中はからっぽ――奇想天外な騎士道物語
 時は中世、シャルルマーニュ大帝の軍勢に、サラセン軍との戦争で数々の武勲を立てた騎士アジルールフォがいた。戦場にあっては勇猛果敢、謹厳極まる務めぶりで騎士の鑑ともいうべき存在。だが、その白銀に輝く甲冑の中はからっぽだった――。肉体を持たず、強い意志の力によって存在するこの〈不在の騎士〉は、ある日その資格を疑われ、証を立てんと15年前に救った処女を捜す遍歴の旅に出る。彼に恋して後を追う女騎士ブラダマンテ、さらにその後を追う若者ランバルドの冒険とあわせ、奇想天外な騎士道物語が展開する。文学の魔術師カルヴィーノが、人間存在の歴史的進化を寓話世界に託して描いた《我々の祖先》三部作開幕。「指輪、ナルニア、ゲド、どれも世界を語るに足りないと思っている人への贈り物! これでだめだったら、ファンタジーに絶望していい」(金原瑞人)。

著者略歴

著:イタロ・カルヴィーノ
1923-1985年。イタリアの作家。キューバで生まれ、2歳の頃イタリアに移住。第2次世界大戦中のパルチザン体験にもとづく長篇『くもの巣の小道』(47)で注目され、『まっぷたつの子爵』『木のぼり男爵』『不在の騎士』の《我々の祖先》三部作(52-59)では奇想に満ちた寓話的世界を創造。『見えない都市』(72)、『宿命の交わる城』(73)、『冬の夜ひとりの旅人が』(79)など、実験的手法を駆使した作品で世界的な評価を受け、「文学の魔術師」と評される。
訳:米川 良夫
1931年生まれ。イタリア文学者。早稲田大学卒業。國學院大學名誉教授。2006年没。訳書にイタロ・カルヴィーノ『木のぼり男爵』(白水社)、『レ・コスミコミケ』(ハヤカワ文庫)、『見えない都市』(河出書房新社)、チェーザレ・パヴェーゼ『月とかがり火』(白水社)、他多数。

ISBN:9784560072103
出版社:白水社
判型:新書
ページ数:214ページ
定価:1500円(本体)
発行年月日:2017年03月
発売日:2017年03月17日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:FB