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新・全訳 須恵村―日本の村

著:ジョン・F・エンブリー
訳:田中 一彦

紙版

内容紹介

太平洋戦争開戦の5年前、熊本県須恵村(現あさぎり町)覚井集落に居を構え、約1年間村を調査したアメリカ人社会人類学者が、田植えなどの協同活動「かったり」や任期制の世話人「主どうり」などボスのいない自治の仕組み、家族構造や教育、宗教、行事などむらの全貌を克明に記録。帰国後の1939年に刊行された“Suye Mura:A Japanese Village”は英語圏における戦前随一の日本農村研究となり、ルース・ベネディクトのベスト&ロングセラー『菊と刀』(46年)の重要な参考資料となった。刊行後80年を経て全容を現す幻の名著。

第一章 歴史的背景
第二章 村の組織
第三章 家族と世帯
第四章 協同の慣行
第五章 社会階級と社会集団
第六章 個人の生活史
第七章 宗 教
第八章 須恵村の社会組織における

目次

新・全訳に当たって――訳者前書き  田中 一彦 
一九六四年版に寄せて リチャード・K・ビアズリー 
序 A・R・ラドクリフ=ブラウン 
自 序 ジョン・F・エンブリー 

第一章 歴史的背景

第二章 村の組織

地理的位置 / 須恵村と近隣の町 / 村と部落 / 部落の組織 / 新しい部落の成立 / 協同的な隣保集団(組) / 農産物、器具および機械 / 季節 / 村の専門職人 / 村を一体化する組織 / 人口と転入、転出 / 村民の生活圏の変遷 

第三章 家族と世帯
家族と養子縁組 / 世帯 / 寄り合いと宴会 / 民謡と踊り 

第四章 協同の慣行
序論 / 責任当番制 ――「組」の仕組み/ 公益的な協同/ 援助の協同(手伝い)/ 交換労働(かったり) / 協同的な信用貸しの団体(講) / 贈答 

第五章 社会階級と社会集団
社会階級 / 社会集団 / 社会的制裁/ 忌避 / 不適応者 / 芸者 

第六章 個人の生活史
誕生 / 教育と学校 / 思春期 / 徴兵/ 結婚 / 還暦 / 死 

第七章 宗 教
序論  / 神道  / 仏教  / 身近な神々 / 石神、彫像、道端の供え物  / 祈祷師  / 憑き物、犬神、狐  / 生涯の三回の重大事にまつわる信仰  / 一年の祭事暦 

第八章 須恵村の社会組織における
 注目すべき変化

付 録
Ⅰ 経済基盤 
Ⅱ 家計費 
Ⅲ 納税を奨励する会議でのスピーチの概要 
Ⅳ 阿蘇部落で溺死した少年の四十九日法要での深田村の真宗僧侶による講話の要約 
Ⅴ 神道の祝詞と神主の講話 

参考文献 
ジョン・フィ・エンブリー関連年譜 
「非農民の農民発見」として――訳者後書き  田中一彦 
新・全訳への付録
「協同」の村・須恵村 エンブリーのスナップ 1935~1936年  
索引 

著者略歴

著:ジョン・F・エンブリー
1908年アメリカ・コネティカット州生まれ。社会人類学者。トロント大学で人類学修士号取得。シカゴ大学に進み、1935年から約1年間、妻・エラとともに熊本県須恵村(現あさぎり町)に滞在、農村調査を行なう。帰国後博士号を取得。39年“Suye Mura:A Japanese Village”刊行。50年、42歳のとき、18歳の娘クレアとともに事故死。
訳:田中 一彦
1947年、福岡県瀬高町(現みやま市)生まれ。京都大学経済学部卒。西日本新聞記者・編集局次長を経て、2011年から2014年まで熊本県あさぎり町に単身移住し取材・調査。著書に『忘れられた人類学者エンブリー夫妻が見た<日本の村>』(忘羊社)など。

ISBN:9784540201578
出版社:農山漁村文化協会
判型:4-6
ページ数:428ページ
定価:4500円(本体)
発行年月日:2021年05月
発売日:2021年05月19日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JB