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税理士必携 顧問先の銀行融資支援スキル 実装ハンドブック

著:諸留 誕

紙版

内容紹介

いくらを? どうやって? どのタイミングで?
税理士だからこそできる、会社を潤すおカネの話。

多くの中小企業にとって、銀行融資は資金繰りの生命線といえます。
中小企業経営者にとって身近な相談者である税理士は、ときに融資にまつわる相談をされたり、対銀行の助力を求められたりすることもあるものです。とはいえ、このとき適切な助言・支援ができる税理士は、決して多くはないことでしょう。
事実、多くの中小企業が資金繰りにいっそう苦心したコロナ禍においては、融資のような「会社に入るお金」の話ができない(税金の話しかできない、申告手続しかできない)顧問税理士が、少なからず契約の見直し・打切りを検討される事態にまでなりました。
一方、銀行融資について深く理解し、適切に融資を引き出すスキルに長けた税理士であれば、顧問先の持続・発展に貢献でき、自身の税理士業務も拡大できることでしょう。

本書は、“銀行融資専門税理士”として財務支援に取り組んでいる著者が、
・無借金経営の危うさと、コロナ禍の教訓
・税理士のための銀行融資の基礎
・融資の受けやすい決算書、受けづらい決算書
・戦略的に融資実行の可能性と融資額を最大化するには
・顧問税理士だからこそ可能な、融資実行後の銀行対応支援
ほか、税理士としてもう一段階スキルアップするための膨大な知識とポイントを、初学者や非税理士にもわかりやすい言葉で書き尽くした1冊です。

目次

はじめに

第1章 顧問先にとっての銀行融資
第1節 無借金経営の是非
① 無借金経営の検証
② コロナ禍の教訓
③ 融資が必要ないのはどのような会社か
第2節 顧問先への融資の勧め
① 顧問先のトリアージ
② 顧問先に融資を勧める
③ 顧問先への姿勢と報酬
④ 実績やコネがなくても大丈夫
第3節 顧問税理士というアドバンテージ
① 銀行の警戒心への対処
② 税金計算とタックス・プランニング
③ 会計データを持つ強み
<コラム>税理士が銀行交渉をしてはいけない

第2章 銀行融資の基本を押さえる
第1節 融資の可能性の把握
① 決算書に基づく把握
② 社長の個人信用情報等の把握
③ 融資の可能性の伝え方
④ 個人事業主版「3要素」
第2節 金融機関の種類
① 金融機関の種類
② 各金融機関の特徴
③ 新たな金融機関の選定・比較
④ 融資申込みの流れと注意点
⑤ 銀行に開示すべきでない情報
第3節 取引銀行の増やし方
① まずは日本公庫から
② 信用金庫・地方銀行との取引を増やす
③ 取引銀行の数は過不足なく
④ メインバンクとの関係性を強固にする
第4節 融資の種類
① 信用保証協会の保証付き融資
② プロパー融資
③ 証書貸付・手形貸付
④ 当座貸越と社債
⑤ ノンバンク融資
⑥ オンライン融資
⑦ 創業融資
第5節 資金使途の理解
① 資金使途の意味と種類
② 運転資金の小分類
③ 資金使途違反に注意

第3章 決算書を磨き込む
第1節 銀行の見方の理解
① 融資における決算書
② 銀行は中小企業の決算書を信用しない
③ 銀行による決算書の修正
<コラム>通常の融資とコロナ融資
第2節 貸借対照表を見直す
① 資産の部の減額修正
② 負債の部の簿外処理
③ 役員借入金の計上
④ 実態貸借対照表をつくる
第3節 損益計算書を見直す
① 収入は上に、費用は下に
② 実態がともなわない記載をしない
③ 少な過ぎる役員報酬の弊害
④ 事実と異なる修正を避ける
第4節 税務申告書を見直す
① 法人税別表の注意ポイント
② 勘定科目内訳明細書はていねいに
③ 法人事業概況説明書は全て埋める
④ 株主資本等変動計算書と個別注記表のポイント
<コラム>会計ソフトの変更

第4章 融資引き出し戦略
第1節 必須書類をそろえる
① 決算書
② 試算表
③ 資金繰り表
④ 借入金一覧表
⑤ 融資依頼書
⑥ 他にもあるとよい書類
第2節 借入金額を決める
① 「いくら必要なのか」を尋ねられたら
② 借入余力の見当をつける
③ 経常運転資金の借入余力
④ 増加運転資金の借入余力
⑤ 設備資金の借入余力
<コラム>協調融資で借入金額を増やす
第3節 タイミングを逃さない
① 税務申告終了時がベストタイミング
② お金があるときに申し込む
③ 赤字転落前に申し込む
④ 銀行からの融資セールスへの対応
<コラム>銀行は帝国データバンクの評点を見ている
第4節 経営計画書で加点を狙う
① 融資審査における経営計画書の位置付け
② 経営計画書を作成する際の考え方や書式
③ 経営計画書の作成
④ 行動計画あってこその数値計画
⑤ 売上改善・利益改善の方法
<コラム>銀行は資金支援から本業支援へ
第5節 事業性評価に協力する
① 事業性評価とは
② 事業性評価が進まない原因と対策
③ ツール1:ローカルベンチマーク
④ ツール2:RESAS
⑤ ツール3:まち・ひと・しごと創生総合戦略
<コラム>金融仲介機能のベンチマークで銀行を知る
第6節 顧問税理士だからこそのサポート
① 過度な節 税にストップをかける
② 利益の先取り・先送りを考える
③ 試算表の活用
④ 個人資産の開示を社長に促す
⑤ 銀行ごとの預金シェアを見直す
⑥ 社長の能力・人格に対するアドバイス
⑦ 顧問先と銀行の通訳をする
⑧ 税理士主導で銀行対応をスタートする
<コラム>銀行員の部署・肩書き

第5章 融資メンテナンス術
第1節 折り返し融資をスケジュールする
① 折り返し融資とは
② 口数を増やさない
③ 黒字のときこそ実行する
④ メインバンクから始める
⑤ 完済しない
第2節 プロパー融資を引き出す
① 銀行はプロパー融資を嫌う
② プロパー融資を受けやすいタイミング
③ 都市銀行から保証付き融資を受けない
④ 保証付き融資を受けるべき場面
⑤ プロパー融資のウエイトが大きくなる
第3節 金利を引き下げる
① 金利のしくみ
② 金利交渉に役立つ3つの金利
③ 金利は既に十分低い
④ 今後は金利が上がる
第4節 経営者保証・担保を外す
① 経営者保証とは
② 経営者保証に関するガイドラインとは
③ 経営者保証がなくても融資を受けられる要件
④ 交渉のタイミングとポイント
⑤ 金額的な根拠を確認する
⑥ あわせて物的担保も外したい
⑦ 担保価値の基本
⑧ 抵当権の基本
⑨ 信用保証協会の見合い担保に注意
⑩ 無担保・無保証といえばマル経
第5節 短期継続融資に置き換える
① 短期継続融資のメリット
② なぜいま短期継続融資なのか
③ 短期継続融資を引き出すポイント
④ 継続してもらえなかったらどうするのか
第6節 メインバンクを見直す
① メインバンクを勘違いしているケース
② メインバンクの見極め方
③ メインバンクを変えるべき場面
④ メインバンクを変えるべきではない場面
⑤ 他行が納得できる理由かどうか
第7節 一本化で資金繰りを改善する
① 「簡易キャッシュフロー<年間返済額」では問題
② 複数の融資を一本化する
③ 他行肩代わりは要注意
④ 他行肩代わりを提案されたときの対応手順
第8節 リスケジュールする
① いつリスケジュールに踏み切るか
② リスケジュールの手順
③ 必須書類「経営改善計画書」
④ その他の必要書類
⑤ リスケのよくある誤解
⑥ リスケをする際の心構え
⑦ 計画貸借対照表の作成方法
⑧ リースのリスケ
第9節 資本性借入金を検討する
① 資本性借入金とは
② 資本性借入金のメリット
③ 資本性借入金のデメリット
④ 資本性劣後ローンを利用する際の注意点
<コラム>繰上返済はしない

おわりに

ISBN:9784539729939
出版社:日本法令
判型:A5
ページ数:496ページ
定価:4000円(本体)
発行年月日:2023年12月
発売日:2023年12月22日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KJ