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遺伝子社会学の試み

社会学的生物学嫌い(バイオフォビア)を超えて

編著:桜井 芳生
編著:赤川 学
編著:尾上 正人

紙版

内容紹介

個人の遺伝子属性と社会的行動との関連を分析。日本の社会学がバイオフォビアを克服する上でのマイルストーンとなる画期的業績。

目次

まえがき――バイオフォビア・ボーナスを求めて


●第一部 遺伝子社会学の試み

1 ツイッター遺伝子の発見?――SNP(遺伝子一塩基多型)rs53576解析による遺伝子社会学の試み
………桜井芳生・西谷 篤・赤川 学・尾上正人・安宅弘司・丸田直子 
目的 
方法 
結果
議論
展望

2 現代若者「生きにくさ」に対する、セロトニントランスポーター遺伝子多型5-HTTLPRの効果
………桜井芳生・西谷 篤・尾上正人
はじめに
方法と対象
結果
議論

3 (補論)セロトニントランスポーター遺伝子多型におけるヘテロ二本鎖解析の検討
………西谷 篤・桜井芳生
目的
方法
結果
考察

4 日本若年層の「スマホゲーム」頻度に対する、遺伝子一塩基多型(SNP)rs4680の看過しがたい効果
………桜井芳生・西谷 篤・尾上正人・赤川 学
はじめに 
方法と対象
結果
議論


●第二部 社会学的生物学嫌い(バイオフォビア)を超えて

5 「社会学の危機」から、「バイオダーウィニスト」の「理解」社会学へ………桜井芳生
はじめに:社会学の危機?
コスミデス・トゥービーによる、「標準的社会科学モデル」批判
現代バイオダーウィニズム援用による、理解社会学の再位置づけ
(理解)社会学への懐疑
セオリーオブセオリー、と、セオリーオブマインド
理解社会学「も」。しかし、バイオフォビア「ではなく」
同時同一対象二種認知の困難性:仮説
社会学的バイオフォビアからの自覚的脱却


6 高田少子化論の進化論的基盤………赤川 学
はじめに
高田保馬の少子化論
高田少子化論の進化論的意味
格差婚における進化時間と歴史・文化時間
おわりに

7 育ち(Nurture)の社会生物学に向けて――共進化とエピジェネティクスから見た社会構築主義………尾上正人
はじめに:「生まれ」から「育ち」へ
社会生物学から共進化説へ
エピジェネティクスの問題系
社会構築主義をどう評価すべきか
おわりに:「育ち」の社会生物学に向けて

8 進化社会学的想像力――3つの進化社会学ハンドブックの検討と進化社会学的総合………三原武司
はじめに
進化社会学のハンドブックとその概要
進化社会学における論点
進化社会学的想像力

9 「女性特有の病気だから」という理由で沈黙せざるを得ない父親たち――ターナー症候群の娘を持つ父親たちの「生きづらさ」とは何か………高口僚太朗
問題設定及び目的と方法
ターナー症候群とは
Aさんの事例
Bさんの事例
Cさんの事例
聞き取りの結果と分析
結語

10 バイオダーウィニズムによる〈文化〉理論――なんの腹の足しにもならないのに、、、………桜井芳生
イントロダクション
〈文化〉の定義
イメージメーキングのための、ケーススタディ(計量研究)
第一・第二成分の検算的解釈と第三成分の解釈修正。「方面」とそれへの「3つの対処」
3つめの手
枠組み・理論の構図
一戦線モデルと全戦線モデル
〈文化的〉満足、とは?
マイナー定義による〈文化〉
バイオダーウィニズムにおけるミスマッチ論
現代社会学における「理論」とは
この理論は、ユニークである

11 「待ち時間」としてのヒトの長い長い子ども期――社会化説、アリエス、そして生活史不変則へ………尾上正人
はじめに:「何のために?」という問いの危険性
社会化説
アリエス説:子ども期の意味の歴史的相対化
チャーノフの生活史不変則
長い長い子ども期の帰結
おわりに:子どもは育てるよりもまず、育つもの

12 
ある種の両性生殖生物のオス(たとえばヒトの男)は、なぜ母子を扶養するのか?――岸田秀を超えて / 大沢樹生事件らは人間文化を不可逆的に変容させる?………桜井芳生
要約
扶養するオス?
岸田秀のセックス=扶養対価サービス説
わたしの答案
タダ乗りの余地
メスの利害状況はオスとはまったく異なる
「タカ-ハト」ゲーム的、「野武士とお百姓さん」ゲーム的 
岸田説再考
諸帰結
本稿、第二の結論

13 高緯度化と農耕を通じた女の隷属――性分業・家父長制への新たな視座………尾上正人
はじめに:元始、女性は太陽ではなかったとしても…
母権制・「家母長制」は存在しなかった
メス独自の階層形成と権力:霊長類学の知見から
本源的な性分業とその解体
おわりに:自然主義の誤謬と道徳主義の誤謬

14 若者の若者文化離れ仮説への、ホルモン時系列推移の状況証拠………桜井芳生
要約
サトシ・カナザワの「年齢とともに生産性が低下する理由:犯罪と天才のつながり」
若年男性の犯罪(率)も、男性の文化的創造性も、そのかなりの部分が「性的淘汰への適応物」か
わたし(ヒトのオス)もあなた(ヒトのオス)も、ムシキング! 仮説
○○ッターは、バカッター?!
「コロナ・チャレンジ」も同断?
若者の、若者文化離れ・仮説=その1、事実仮説
若者の、若者文化離れ・仮説:説明仮説その1=環境ホルモン説再考
若者の、若者文化離れ・仮説:説明仮説その2=恋愛や結婚、コスパ悪すぎる、仮説
若者の若者文化離れ仮説への、ホルモン時系列推移の状況証拠


あとがき――われわれはなぜ「実験」にこだわったのか?

著者略歴

編著:桜井 芳生
鹿児島大学大学院人文社会科学研究科教授
編著:赤川 学
東京大学大学院人文社会系研究科教授
編著:尾上 正人
奈良大学社会学部教授

ISBN:9784535587564
出版社:日本評論社
判型:A5
ページ数:336ページ
定価:5200円(本体)
発行年月日:2021年03月
発売日:2021年03月29日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JHB