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「助けて」が言えない 子ども編

編:松本 俊彦

紙版

内容紹介

『「助けて」が言えない――SOSを出さない人に支援者は何ができるか』待望の続編
ヤングケアラー、貧困、虐待・ネグレクト、性暴力、いじめ、セクシュアルマイノリティ……現代の社会には、さまざまな逆境の中を生きている子どもたちが数多く存在しています。そうした子どもたちにとって、周囲に向かってみずからSOSを発し、助けを求めることは、とても難しいのが現実です。
それは、小さな「助けて」のサインを受け止めてもらえた、「助けて」と言ったら助けてもらえた経験を、子どもたちがもてていないからに他なりません。
大人にとって大切なのは、子どもたちが安心してSOSを出せるような環境を整え、不登校、自傷、オーバードーズ、ゲーム依存などの行為を「厄介な問題行動」と見なすのではなく、子どもなりのSOSのサインとして受け取ることです。
本書は全体を大きく二つのパートに分け、前半に、そうしたかかわりを目指す大人たちへのメッセージ、後半に、子どもたち自身へのメッセージを掲載しました。子どもにかかわるすべての人に、ぜひお読みいただきたい1冊です。

目次

[Ⅰ 「助けて」が言えない子どもたちにどうかかわるか――支援者へのメッセージ]
1. 大人は子どもの「助けて」を受け止められているか?
  ――「SOSの出し方教育」の中で見えてきたこと:髙橋聡美
2. 「助けて」の代わりに自分を傷つけてしまう心理
  ――「自分でなんとかしなくては」から「言葉にならないままつながれる」への転換:山口有紗
3. 「なんで私、こんな苦しいんやろう」と思ったけど
  ――子どものかすかなSOSへのアンテナ:村上靖彦
4. 子どもたちは、なぜ教室で「助けて」と言えないのか:川上康則
5. 「助けて」と言えずに不登校を続ける子どもたち:岡崎 勝
6. ゲームに没頭する子どもの「助けて」と言えない心理
  ――沈黙に耳をかたむける:佐久間寛之
7. 家族の〈叱る依存〉で無力化されてしまう子どもの心理:村中直人
8. 死ぬのが怖いのに「助けて」と言えない心理
  ――子どもが最期までその子らしく生きるために:菊地祐子
9. 社会とつながりたいのにつながれない
  ――少年院出院者に対する支援:仲野由佳理
10.「助けて」と言ったら助かる社会に
  ――社会的養護のもとで育った若者たちの「声」:永野咲

[Ⅱ 「助けて」が言えないあなたへ――当事者へのメッセージ]
1. 誰も信用できないから「助けて」と言えない
  ――孤立無援をどうサバイバルするか:風間暁
2. 自分を傷つけたい・消えたい・死にたいのに「助けて」と言えない:勝又陽太郎
3. つらい記憶が頭から離れないのに「助けて」と言えない:新井陽子
4. 「助けて」という気持ちをクスリと―緒に飲み込んでしまう:嶋根卓也
5. 大人はわかってくれない
  ――大好きなものを理解してもらえないあなたへ:佐々木チワワ
6. SOSは届いているのか
  ――学校でのいじめや不適切な指導に苦しむあなたへ:渋井哲也
7. 部活をするのは何のため?
  ――「これって体罰かも」と感じながら、身動きがとれないあなたへ:為末 大
8. いじめを知り、解決するために
  ――いじめを受けている、いじめを受けたことがある、いじめを止めたいあなたへ:荻上チキ
9. 宗教二世として苦しむあなたへ:横道 誠
10.学校とも家とも違う居場所がほしい
  ――フリースクールってどんな場所?:前北 海
11.生まれてこなければよかったと思っているあなたへ
  ――セクシュアルマイノリティの子どもへの“手紙”:新田慎一郎
12.親が病気なのは自分のせい?:プルスアルハ

[座談会]
子どもの自殺を防ぐために、私たちにできること:坪井節子・生越照幸・松本俊彦

著者略歴

編:松本 俊彦
松本 俊彦 (まつもと としひこ) 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部

ISBN:9784535564244
出版社:日本評論社
判型:4-6
ページ数:288ページ
定価:1700円(本体)
発行年月日:2023年07月
発売日:2023年07月05日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JHB