序章 会計は何のためにあるのか
会計には3つの種類がある
3つの財務諸表の役割
1年間の経営成績や資産の状態をまとめた決算
なぜ財務務諸表を作るのか
会社のタイプによって異なるさまざまなルール
第1章 会社の安全性を知る──貸借対照表
1 「貸借対照表」のしくみ
基本は「資産=負債+純資産」
必ず返すお金、返さなくてもよいお金
1年という基準で分かれる資産
利息の付く負債と付かない負債
会社はどうなると倒産するか
2 実際の決算書で分析してみよう
中長期的な安全性を調べる
自己資本比率はいくらあればよいのか
一歩踏み込むCOLUMN株主資本、自己資本、純資産の違い
業種ごとに基準が違う
短期的な安全性を見る指標1「流動比率」
短期的な安全性を見る指標2「当座比率」
流動比率や当座比率が低くても心配ない業種
流動比率が高くても資金繰りが厳しい業種
一歩踏み込むCOLUMN自己資本比率50%、流動比率150%でも倒産する会社
会社が窮地に陥ったときは「手元流動性」
経営者が安心できる水準を保つ
「手元流動性→流動比率・当座比率→自己資本比率」の順に見る
一歩踏み込むCOLUMN高い流動比率を必要とする業種は、高い自己資本比率がいる
危機時にはとにかく手元流動性を確保
経営者や幹部に求められる心構え
第2章 貸借対照表を深く読む
1 「資産の部」──2種類に分かれる
【流動資産】「現金及び預金」「有価証券」は手元流動性
【流動資産】「たな卸資産」とは作ったものや仕入れたもの
大塚家具とニトリの収益力に大きな差がある理由
【流動資産】「受取手形及び売掛金」が回収できないときは br>【固定資産】重要な「減価償却」のしくみ
一歩踏み込むCOLUMN減価償却費の「損金」と「費用」の計上のずれ
一歩踏み込むCOLUMNオペレーティングリースとファイナンスリース
【固定資産】買収で発生する「のれん」をどう処理するか
なぜソフトバンクは会計基準を変えたのか
【固定資産】「減損」するかどうかの基準
【固定資産】「時価会計」で変わる資産の値段
2 「負債の部」──「1年ルール」で区別する
「有利子負債」を計算する方法
「支払手形及び買掛金」は支払いをすませていないお金
将来発生する費用、「引当金」
一歩踏み込むCOLUMN中小企業の「社債」に隠された銀行の狙い
一歩踏み込むCOLUMN支払いサイトは「売掛金」と「買掛金」の期間も考慮
3 「純資産の部」──返さなくてもいい資金の調達源
「資本金」「資本準備金」「資本剰余金」は会社の元手
「利益剰余金」は過去の利益の蓄積
「その他の包括利益累計額」で資産価値の変更を調整
「新株予約権」は将来株式を買う権利
一歩踏み込むCOLUMN利益剰余金がマイナスの会社で早く配当をする方法
一歩踏み込むCOLUMN「土地再評価差額金」が生まれた背景
4 「子会社」と「関連会社」はどう違うのか
売上高をすべて合算するのが子会社
子会社 or 関連会社で決算が大きく変わる
実質的な支配の状況が重要
一歩踏み込むCOLUMN純資産で分かる会社の歴史と経営者の姿勢
第3章 会社はどうやってもうけているのか──損益計算書
1 損益計算書のしくみ
「収入-費用=利益」の繰り返し
一歩踏み込むCOLUMN「売上高」と「営業収益」は微妙に違う
「4つのサイクル」を押さえる
一歩踏み込むCOLUMN「持分法による投資利益」と「非支配株主に帰属する当期純利益」
経営者は営業利益、投資家は当期純利益が一番大事
2 実際の決算書で分析してみよう
まずは売上高の伸び率に注目
売上高の伸びと原価の伸びを比較する
作れば作るほど利益が増えるトリック
どれだけ効率良く稼いでいるかを測る
一歩踏み込むCOLUMN「セグメント情報」事業別・地域別の業績で詳しくチェック
売上高は会社と社会との接点
本業以外の収益や費用を調べる
資産が想定したほどの利益を稼げなければ損失計上
経営者は最後の利益、当期純利益まで責任を持つ
一歩踏み込むCOLUMN「税効果会計」による税金額の調整
一歩踏み込むCOLUMN日本と海外の会計基準の違い
3 収益力を測る
効率良く稼いでいるかを見る「資産回転率」
一歩踏み込むCOLUMN効率良く稼ぐことと安全性とは別のもの
損益計算書は最低3期分調べる
どんな会社が高収益と言えるのか
同業他社と比べると分かること
第4章 会社に将来性はあるか──キャッシュ・フロー計算書
1 キャッシュ・フロー計算書のしくみ
「営業キャッシュ・フロー」は通常の業務でのお金の出入り
営業キャッシュ・フローは必ずプラスに
「投資キャッシュ・フロー」はどれだけ投資に積極的かを表す
「財務キャッシュ・フロー」はファイナンス状況や株主還元のまとめ
2 実際の決算書で分析してみよう
営業キャッシュ・フローはどれぐらいあれば十分か
会社の成長の源泉「フリーキャッシュ・フロー」
「稼ぐ」と「使う」が大切
「投資キャッシュ・フロー」に将来性を見る
日本電産の積極的なM&Aを投資キャッシュ・フローで見る
経営危機時でも投資を続けたマクドナルド
バランスの良いキャッシュ・フロー計算書とは
財務諸表の関係と指標の計算式まとめ
一歩踏み込むCOLUMN世界の会計基準統一の歴史
第5章 経営の成果を測る、会社の値段を計算する──管理会計、企業価値
1 経営のパフォーマンスを調べる管理会計
2 「損益分岐点分析」──どこまで売ればもうけが出るのか
損益分岐点の計算方法
赤字にならない水準を計算する「安全余裕率」
「固定費型」「変動費型」、そして双方の利点を持つ第3の業種
なぜDeNAは球団を買収したのか
一歩踏み込むCOLUMN固定費と変動費を見分けるシンプルな法則
経営危機時はともかく費用を削る
会社を小さくする能力があるか
利益を増やす順番を間違えない
3 原価計算の正しい運用方法
正確な収益が見えなくなる罠
弱点をカバーする「直接原価計算」
黒字化のため最低限確保する「限界利益」
直接原価計算のデメリット
一歩踏み込むCOLUMN値決めにつきまとう難しい問題
コストを正確に把握する方法「ABC」
4 会社の値段はどう計算するか
会社の値段を測る方法1「DCF法」
会社の値段を測る方法2「EBITDA倍率」
一歩踏み込むCOLUMN事業会社はDCFを、ファンドはEBITDAを使う理由
会社の価値を高める方法
第6章 注目の指標で経営を深く読む──ROE、ROA、資本コスト、EVA
1 ROEとROAを使いこなす
「ROE」──株主のお金でどれだけ稼いでいるか
「ROA」──資産に対してどれだけ利益を生んでいるか
なぜ株主はROEを重視するのか
「ROEが高い=投資リターンが高い」とは限らないが……
一歩踏み込むCOLUMNなぜ日本でROEがブームになったのか
ROEとROA、どちらが大切か
ROAを高めてからROEを高めるのが本筋
経営者は負債にも責任がある
「高ROE企業=優良企業」は本当か
安易な「自社株買い」の落とし穴
短期的な安全性にも問題が出る懸念
実際の会社のROEとROAを見てみよう
2 「資本コスト」でめざすべき目標を決める
株主から調達したお金はコストが高い
純資産の調達コストを計算する──「CAPM」
会社には調達コストを上回る利益が必要──「WACC」
トヨタはなぜ多額の有利子負債を持つのか
ROEを軽視してはいけない。でも振り回されてはいけない
3 ROEやROAの次に注目される指標「EVA」
ROA、WACCと似ている点、異なる点
EVAがもたらす大きな経営効果
経営指標は「人や社会を幸せにする経営」実現のための道具