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グローバル・バリューチェーン

新・南北問題へのまなざし

著:猪俣 哲史

紙版

内容紹介

◆たとえばアップルの製品のように、アメリカで研究開発され、日本や東南アジアで作られた部品が中国に集められ、組み立てられて全世界に輸出されるといった複雑な国際分業体制があたりまえの時代になりました。その結果、通商問題は中国からアメリカにどれぐらい輸出されているかといった単純な問題ではなくなってきています。
また、単純な部品は途上国、高付加価値品は先進国でつくるといった国際貿易の前提も崩れました。途上国に最新鋭の工場が作られ(しかし、その国に必ずしも富は落ちず)、一方で先進国で失業問題が深刻化するといった複雑な新・南北問題が起きています。

◆このような複雑な国際生産分業ネットワークがどのように張りめぐらされ、どの段階でどれぐらいの付加価値が付くのかを膨大なデータを駆使して分析する最新の手法がグローバル・バリューチェーン(GVC)分析です。本書では、東アジア経済の一体化や、米中貿易戦争、第4次産業革命の影響といった国際経済の構造とダイナミックな動きを明らかにしていきます。数式はほとんど用いず、ビジュアルを工夫した図表で直観的に理解できるように解説します。
最先端の研究成果をもとにしながら、グローバルに事業を展開している企業のビジネスパーソンにとっても、知的刺激を受けながら読み進められるわかりやすい内容になっています。

目次

第1章 GVCとは何か

第2章 GVC誕生秘話 東アジアの統合された多様性

第3章 怒れる米国、かわす中国 GVCをめぐる超大国のロジック・ゲーム

第4章 付加価値から見た世界経済

第5章 価値は世界をどうめぐっているか 付加価値貿易の計測手法

第6章 技術革新と経済発展

第7章 GVCパラダイム 新・新・新貿易論?

第8章 新・南北問題の解決へ向けて 政策への含意

終章  第4次産業革命におけるGVC

著者略歴

著:猪俣 哲史
ジェトロ・アジア経済研究所上席主任調査研究員
1966年生まれ。1990年ロンドン大学政治学部学士課程修了、1991年オックスフォード大学大学院経済学部卒業、1995年多摩美術大学造形表現学部(舞台芸術)卒業。2014年一橋大学より博士号(経済学)取得。 1991年アジア経済研究所入所。2000年~02年ロンドン大学客員研究員。2017年より現職。国際産業連関学会会長、国際産業連関学会誌 Economic Systems Research 編集委員、Global Value Chain Development Report 編集委員。

ISBN:9784532134945
出版社:日本経済新聞出版社
判型:4-6
ページ数:296ページ
定価:2500円(本体)
発行年月日:2019年07月
発売日:2019年07月01日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KCL