出版社を探す

21世紀の中国映画

著:藤井省三

紙版

内容紹介

新聞・雑誌や劇場用パンフレットに寄稿した中国映画評25本を収録。『天安門、恋人たち』『鵞鳥湖(がちょうこ)の夜』『世界』『帰れない二人』『玲玲の電影日記』『英雄』『春江水暖~しゅんこうすいだん』『無言歌』『鬼が来た!』『小さき麦の花』ほか28作品の紹介を通して同時代中国の社会、歴史、人々が見えてくる。

目次

まえがき

第一章 プロローグ――中華民国の終わりと人民共和国の始まり
クロニクル『さらば、わが愛/覇王別姫』(『さらば、わが愛/覇王別姫』)
中国 銀幕に紡ぐ「記憶」(『1978年、冬。』『天安門、恋人たち』『長江哀歌』『いま ここにある風景』)

第二章 天安門事件から暗黒の不動産開発まで
中国の『ノルウェイの森』――または天安門事件後の「余計者」の恋人たち(『天安門、恋人たち』)
「雨は雲となり風に漂う」――四角関係殺人事件と中国不動産開発の腐敗をフラッシュバックで描く(『シャドウプレイ』)
大都武漢の〝城中村〟を舞台とする裏切りと情愛の物語――中国の〝黒色電影〔フィルム・ノワール〕〟『鵞鳥湖の夜』を読む(『鵞鳥湖(がちょうこ)の夜』)

第三章 賈樟柯(ジャ・ジャンクー)
斜陽の炭都大同の青春――賈樟柯『青の稲妻』(『青の稲妻』)
北京ニューカマーたちの孤独な青春(『世界』)
映画『長江哀歌』に見る現代中国(『長江哀歌』)
幻の街の「歴史の記憶」――虚実皮膜の不思議な映画(『四川のうた』)
賈樟柯氏インタビュー(『罪の手ざわり』)
中国映画のちょっとヤクザな男女――賈樟柯監督『江湖児女』(『帰れない二人』)

第四章 改革開放経済の明暗
現代中国の原風景――野外映画館「シネマ大世界」が映し出す清く美しき時代(『玲玲の電影日記』)
詩人は鶏の羽根のように吹かれて飛ぶ――中国現代詩史をそえて(『チキン・ポエッツ』)
友情と愛情の久しきこと天地の如く――『在りし日の歌』が描く改革・開放と一人っ子政策の三〇年史(『在りし日の歌』)
民主化の展望を失った寂しい「超大作」――張芸謀監督『英雄』(『英雄』)
中国の大奥ものドラマ『延禧攻略』にはまってしまって(『延禧攻略』)
〝老外漢学家(老人外人中国文学者)〟が読む現代北京の〝老炮児〟と民国期の閏土(『老炮児』)
中国江南水郷の古都を美しくリアルに、溢れる立体感で描き出す傑作映画(『春江水暖~しゅんこうすいだん』)

第五章 〝反右派〟闘争、文化大革命の傷痕
中国政治犯たちの収容所の記憶――映画『無言歌』の原作『夾辺溝の記録』をめぐって(『無言歌』)
地獄の収容所「幸存者」が語る……中国の「反右派闘争」(『死霊魂』)
現代中国のトラウマを集約したドキュメンタリー大作――池谷薫監督『延安の娘』(『延安の娘』)

第六章 日中戦争の記憶と現代シンガポールの「病める家」
中国映画における日中戦争の描きかた(『鬼が来た!』『戦場に咲く花』)
南京事件の〝記憶〟を紡ぐ――村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』と陸川監督『南京! 南京!』(『南京! 南京!』)
映画と小説が描くシンガポールという「病める家」(『ライス・ラプソディ』『一緒にいて』)

第七章 エピローグ
〝小さき麦〟を植える有鉄〔ヨウティエ〕は現代の阿Qか?――〝底層叙述〟映画に花開く一粒の愛の詩(『小さき麦の花』)
追悼山口淑子――満映の大スター・李香蘭とぬか漬け

あとがき
索引(人名/作品名)

著者略歴

著:藤井省三
1952年生まれ。東京大学名誉教授。現在、名古屋外国語大学図書館長。専攻は現代中国語圏の文学と映画。著書に『魯迅と日本文学 漱石・鷗外から清張・春樹まで』『中国語圏文学史』(以上、東大出版会)、『魯迅と紹興酒』『魯迅と世界文学』(以上、東方書店)、『村上春樹と魯迅そして中国』(早稲田新書)など。訳書に魯迅短編集『故郷/阿Q正伝』、張愛玲短編集『傾城の恋/封鎖』(光文社古典新訳文庫)、莫言『酒国』(岩波書店)、李昂『眠れる美男』(文藝春秋)、董啓章『地図集』(河出書房新社)ほか多数。

ISBN:9784497224033
出版社:東方書店
判型:4-6
ページ数:188ページ
定価:2000円(本体)
発行年月日:2024年04月
発売日:2024年04月26日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:ATF