出版社を探す

台湾学術文化研究叢書

恋恋紅塵

中国の都市、欲望と生活

著:李 孝悌
訳:野村 鮎子
訳:上原 徳子

紙版

内容紹介

20世紀(民国期)の上海、17、18世紀(清代)の揚州、明末清初の南京など中国近世の都市で繰り広げられる社会生活のディティールを描き出す。近代上海の都市の読み物(『点石斎画報』『良友画報』)、18世紀の都市や農村で流行った情歌(『白雪遺音』『霓裳続譜』)、明清の士大夫の詩詞や戯曲、札記(『桃花扇』『燕子箋』『板橋雑記』『陶庵夢憶』「李姫伝」『池北偶談』『随園軼事』)などの細かい資料によって、本書が明示する、政治的伝統や礼教に隠れた士大夫の逸楽や宗教への信仰、庶民の情欲などの記述は、中国人の日常生活の中身を見直す際の参考となるであろう。

目次

日文版序  李孝悌

第一章 明清文化史研究の新課題
 一、新しい文化史
 二、台湾の文化史研究
 三、明清文化史研究の新課題
  1.一種の価値としての逸楽/2.宗教と士大夫の生活/3.士庶文化の再検討/4.都市生活の表象/5.商人の文化と生活/6.ミクロヒストリー/7.伝統と近代
第二章 桃花の扇もて南朝を送る──断裂した逸楽
 一、プロローグ
 二、『桃花扇註』──史実と芝居
 三、明末の金陵
 四、秦淮/旧院
 五、断裂
 六、結論
第三章 冒襄と水絵園の遺民世界
 一、若き日の風流
 二、水絵園
 三、親密な関係
 四、戯曲
 五、往事の追憶/今昔の感
 六、結論
第四章 儒生冒襄の宗教生活
 一、はじめに
 二、籤詩
 三、起死回生
 四、「夢記」
 五、結論
第五章 士大夫の逸楽――揚州時代(一六六〇~一六六五)の王士禛
 一、涙を揮いて揚州に下る
 二、官員/詩人の役割の転換
 三、士大夫の逸楽
 四、蘇東坡へのアイデンティファイ
 五、交游
 六、結論
第六章 袁枚と十八世紀中国の伝統における自由
 一、中国の伝統と自由主義
 二、政治的自由の外
 三、袁枚と十八世紀の私的空間
  1.閑静な風景画/2.情欲と男色/3.飲食/4.宗教的イマジネーション
 四、結論
第七章 十八世紀の中国社会における情欲と身体――礼教世界の外のカーニバル
 一、礼教と情欲――問題提起
 二、情歌、戯曲選
 三、十八世紀の女性における複雑で多様な情欲世界
  1.別離の浪漫情歌/2.婉曲的に主題へ/3.閨怨と恋の病/4.性に目覚める娘/5.私通とその成り行き
 四、希望とからかいの対象としての身体
 五、歌の作詞者と伝播、およびその社会的意義
 六、結論
第八章 都市での彷徨――鄭板橋のうたかたの人生
 一、はじめに
 二、生涯のあらまし
 三、儒教と仏教の間で
 四、都市の思い出
 五、結論
第九章 上海近代都市文化の中の伝統と近代―― 一八八〇年代から一九三〇年代――
 一、はじめに
 二、『点石斎画報』
 三、新舞台と改良戯曲
 四、『良友画報』
 五、結論
訳者後記  野村鮎子
解説 明清江南文化史研究のすぐれた道案内――李孝悌さんの『恋恋紅塵』に寄せて  大木康
人名索引

ISBN:9784497218131
出版社:東方書店
判型:A5
ページ数:552ページ
定価:5000円(本体)
発行年月日:2018年07月
発売日:2018年07月05日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:NHF
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FPC