1949礼賛
中華民国の南遷と新生台湾の命運
著:楊 儒賓
訳:中嶋 隆蔵
内容紹介
台湾にとって1949年は厄災なのか栄光なのか
1949年は、大陸では中華人民共和国が誕生した一方、台湾では、中華民国政府がそっくり遷移してきた年であり、台湾が「全身に傷を負った」年でもある。著者の楊儒賓は、台北生まれの台湾人で、「1949」後の台湾の苦悩を知る世代であるが、本書では、1949年の中華民国政府の「南遷」をポジティブにとらえ、それがあったことによって、台湾にそれまでになかった「国家意識」が生まれ、民国の学術――中国の伝統的文化――をそのまままるごと受け継ぎ、60年以上をかけて民主的な新しい台湾を作り出しえたとする。統一派からも本土派からも議論が湧き出た問題の書。王徳威と陳怡蓁の「後序」を掲載する。
目次
自序 〔楊儒賓〕
Ⅰ 1949論
1949への礼賛
歴史の災難と文化の伝播
歴史の災難と歴史の機会
1949と新儒家
中華民国と1949以後
ただに苦難の物語だけではない
Ⅱ 1949と民国の学術
1949の大分裂と新たなる漢華人文知識の再編成
東アジアという視座における台湾の人文科学
まだアンコールを求められてもいないのにアンコールに応える言葉
台湾で中華文化を語る
台湾の創造力と中華文化という夢
中華民国において「民国学術」を考える
儒家の現代性?
Ⅲ 1949と両岸の儒学
台湾在住の儒家と台湾に渡来した儒家
両岸の三つの地域―新中国と新台湾
瀛島百年一任公
二二八の百年祭
辛志平、鄭成功と能久親王
趙老! 趙老!
Ⅳ 1949と清華大学
なぜ清華なのか?
清華大学と民国ブーム
後人の補充を待つ
清華門の番茉莉
後序一 中華を納めて台湾に入れる 〔王徳威〕
後序二 黄色の大地と藍色の太洋 〔陳怡蓁〕
訳者あとがき 〔中嶋隆蔵〕
書中所見人物生没年一覧