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戦争と財政の世界史

成長の世界システムが終わるとき

著:玉木 俊明

紙版

内容紹介

「戦争」と「財政」によって形成された現代社会。防衛費倍増の財源として増税や国債発行が議論される今、その歴史的背景を探る。

現在、日本では5年間で防衛費を現在の2倍まで引き上げることが検討されている。その財源として、増税と国債発行という2つの方法が考えられる。
増税をすると、通常、経済は成長しない。しかし、その根底にあるのは、増税しても、やがて経済は成長するという一種の信仰ではないか。増税論者には、一時的に増税をしてもやがて日本経済は復活するという前提がある。
それに対し国債を発行すべきだと主張する人々は、増税で経済成長がストップすると考えている。経済は常に成長すべきであり、それを妨げるような政策はすべきではないと考えているように思われる。
一見すると矛盾しているように思われるこれらの考え方の基底には、持続的経済成長は当然のことだという前提がある。しかし、この前提自体が間違っているかもしれないのだ。
近世以降の世界で国債を大量に発行できたのは、経済成長が前提となっていたからであるが、現在の日本では人口が減少しており、さらに近い将来世界で人口が減少するかもしれず、経済成長が期待できるかどうかはあやうい。本書では、日本をはじめとする世界経済の債務超過が招く危機の可能性までを問う。

目次

序章 国の借金はなぜ減らないのか

第1章 「戦争国家」オランダの財政革命

第2章 財政=軍事国家イギリスの興隆

第3章 商人がつくった「帝国」システムーーハンブルクとロンドン

第4章 ディアスポラの民が世界を縮めた

第5章 手数料と電信の世界帝国

第6章 恒常化する国家の財政赤字

終章 成長の世界システムが終わるとき

著者略歴

著:玉木 俊明
玉木 俊明(タマキ トシアキ)
経済史家、京都産業大学経済学部教授
京都産業大学経済学部教授。専門は近代ヨーロッパ経済史。
1964年、大阪市生まれ。同志社大学大学院文学研究科(文化史学専攻)博士後期課程単位取得退学。
著書に『ヨーロッパ覇権史』『ヨーロッパ 繁栄の19世紀史』(ちくま新書)、『近代ヨーロッパの誕生』『海洋帝国興隆史』(講談社選書メチエ)、『〈情報〉帝国の興亡』(講談社現代新書)、『近代ヨーロッパの形成』(創元社)、『ダイヤモンド 欲望の世界史』(日本経済新聞出版社)、『手数料と物流の経済全史』(東洋経済新報社)など多数。訳書にヤコブ・アッサ『過剰な金融社会』(知泉書館)などがある。

ISBN:9784492371350
出版社:東洋経済新報社
判型:4-6
ページ数:278ページ
定価:2000円(本体)
発行年月日:2023年09月
発売日:2023年09月13日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KFFD
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:KCZ