子どもの感性が磨かれる社会科の学び
共感し合える学級をつくり、どの子も輝く授業をつくる!
著:河原秀樹
内容紹介
共感し合える学級をつくり、どの子も輝く授業をつくる!
「~のはずなのに、なぜ?」という問いが生まれるとき、子どもの追究意欲はとめどなくあふれ出す!
子どもの感性をはたらかせ、認識(予想や既習知識)とのズレを生み出すノウハウ満載!
本書の概要
授業を通じて子どもの心が解放され、感性が磨かれると、子どもは教材や学級の仲間と豊かにかかわり合うことをよりいっそう求めるようになり、心から学びをたのしむようになります。こうした授業や学級をどうつくっていけばよいかは、いつの時代もむずかしい課題です。
そこで本書は、子どもの感性が磨かれる社会科授業づくりを通して、この古くて新しい課題を解決する手立てを提案します。
本書からわかること
教師の言葉が子どもの心に響く関係性をつくる
年度当初にまず行うべきは、教師である自分の個性を子どもたちに知ってもらう、その存在を認めてもらう、できれば価値づけてもらうことです。
本書では、そのための方法を紹介しています。
お互いの考えをつなぎ合おうとする学ぶ集団をつくる
毎日を共に過ごす仲間の一人として、自分以外の他者に思いを馳せ、多様な他者を価値ある存在として受け止め、自分自身も認めてもらえる関係性のなかで学び合えてこそ、子どもは学習を自分事にします。そのために必要となる考え方が「一人一人の子どもの成長の見取りと価値づけ+個と個をつなぎ、学級集団を鍛える」ことだと本書ではとらえています。
本書では、そのために必要なことはなにか、どのようにして学ぶ集団をつくっていけばよいかを紹介します。
「よい授業」は、子どもたちとイメージを共有できてはじめて現実になる
教師であればなにかしら、自分の理想とする授業像をもっていると思います。それに対して子どもたちはどうでしょう。たとえば「4年生のときの社会はたのしかった」などと思い出として語ることはできても、具体的になにが自分にたのしさをもたらしてくれたかまで明確にイメージしているわけではありません。
こうしたことから、「よい授業」のイメージを子どもたちと共有することを重視しているのです。
「~のはずなのに、なぜ?」という問いが生まれる社会科授業をつくる
子どもたちが本気で学んだことが、実は物事の一つの側面にすぎないことに気づいたとき、それまでに学んで得た理解を「深い理解」に導く「なぜ?」が生まれるのです。
本書では、そのような問いが生まれるにはどのような手立てが必要かを紹介します。
こんな先生におすすめ
・社会科授業で子ども一人一人が活躍できる場をつくりたいと考えている先生方
・社会の仕組み理解にとどまらず、子どもたちが自ら社会的事象の特色や意味理解に近づこうとする授業をつくりたいと考えている先生方
目次
序章 子どもが感性をはたらかせるということ
私たち教師が担う役割
教師が子どもに与えられるかもしれないこと
社会科に目覚める
学び合える集団づくり
第1章 子どもの感性がはたらく学級をつくる
学級開き―期待と不安の入り交じった出会い
教師である自分の個性をまず知ってもらう
「みんなで決めた」という喜びと責任感を分かち合える学級の目標づくり
裏方教師の見えざる「ワザ」
授業はドラマだ―どの子も役割をもっている
授業が終わると、うれしそうに近寄ってくる子ども
4月から7月までに鍛えたい集団の基礎づくり
給食や掃除の時間は、クラスメイトの行いを見習う大チャンス
学校生活を共にする役割意識
保護者と共に子どもを育てる機運づくり
あたたかな人間関係をつくる教室環境
全員遊びは、手つなぎ鬼ごっこ
叱るときは「行為」に対してのみ
たのしいから笑うのではない、笑うからたのしくなるのだ
子どもの行いは教師のふるまいの相似形
たとえ言葉にしなくても、心ではたくさんのことを考えている
子どもや保護者は何気ない教師の言葉をよく覚えている
仲よし3人組が私に教えてくれたこと
「よい授業」は、子どもたちとイメージを共有できてはじめて現実となる
1 よい学びをしている子どもたちの姿を見に行く
2 他校の学び合う子どもたちの姿を見せる
3 自分の学級の授業を撮影して視聴する
自分の得意なことを生かせる教師の学び合い
教育研究集会で仲間づくり
目に見えるものから見えないものを想像するということ
見通しをもてれば、学習への期待感が高まる
第2章 子どもの感性が磨かれる社会科授業をつくる
子どもと教材とのかかわり
切実感や必要感のある学び
社会的事象との出合わせ方―問題意識を醸成し見通しをもたせる
社会的事象と子どもの距離を近づける
1 具体物の威力
2 直接体験
ロールプレイ(役割体験)
「問い」を活性化する「たて」「よこ」比較法
1 「よこ比較」の実践例
2 「たて比較」の実践例
3 「たてよこ混合比較」の実践例
子どもの考えをつなげる板書
1 立場や視点で分類する板書
2 学習内容を構造化する板書
3 自分にはなかった視点に気づきやすくする板書
物事を掘り下げて多様な考えを引き出し、子どもの理解の質を高める
教師の問いかけ方と子どもの発言の仕方は表裏
関連づけや補完、比較、吟味や葛藤、総合を促す教師のかかわり
1 「関連づけ」「補完」を促す教師のかかわり
2 「比較」を促す教師のかかわり
3 「吟味」「葛藤」を促す教師のかかわり
4 「総合」を促す教師のかかわり
発言する子どもを指名する教師のかかわり
子どもたちが互いの存在を認め合える振り返りノート
机間指導は、個と集団の力を高める大切な時間
一人の発言をみんなに広げる教師のかかわり
子どもが発言しているとき、教師はどこに立ち、なにを見ているか
よい指導とは、教師がたくさんしゃべることではない
「食料生産を支える人々~根室のサンマ」(第5学年)
1 「どのように」の段階から「なぜ」の段階に移行する学び
2 自分の考えを整理し、つなぐ
「これからの食料生産~スマート農業」(第5学年)
1 本単元の概要
2 米農家とJA職員への聞き取り調査および米づくりの模擬体験
3 植物工場の取組の意味を考える
4 無人トラクターの取組を通して農業の発展について多角的に考える
5 農業の発展について考え、議論する
「全国統一への動き~織田信長」(第6学年)
1 本単元を構成する意図
2 比較から問いを生む資料提示と役割体験
3 子どもの考えをつなぐ板書
「地球規模の課題と国際協力」(第6学年)
1 自分の立場を明らかにする
2 クラスメイトの考えを推論する問いを取り入れる
3 比較から問いを生む資料提示の工夫