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これからの社会科教育はどうあるべきか

他著:澤井陽介
他著:中田正浩
他著:加藤寿朗

紙版

内容紹介

教科教育の現在と未来を考える羅針盤シリーズ、ついに刊行!

「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」(中央教育審議会答申、令和3年)においては、授業改善の視点である「主体的・対話的で深い学び」につなげる「個別最適な学び」と「協働的な学び」が提起され、これまで以上に「個に応じた指導」や「探究学習」を推進することを目指している。これに対して、社会科が担うべきこれからの役割とは何だろうか。本書では、社会科教育の来し方・行く末を踏まえつつ、未来志向で社会科教育の可能性をつまびらかにする。


◎社会科はどのような学びへと進む可能性があるのかが分かる
中教審答申をはじめとして、「次期教育振興基本計画について」(令和5年)、OECD「OECDFuture of Education and Skills 2030 project」(中間まとめ)、内閣府・総合科学技術・イノベーション会議「Society 5.0の実現に向けた教育・人材育成に関する政策パッケージ」(令和4年)などにおいて、新たな学習スタイルへの提言がなされている。それらに正対し、社会科はどのように変化のステップを刻んでいけばよいかを明らかにする。

◎ICT活用が、子供たちの自律的な学びにどうつながるかが分かる
「個別最適な学び」においては自律的に学ぶ学習者の育成を目標にしており、そのためにはICT活用が鍵になるにもかかわらず、自律的な学びとICT活用との望ましい結び付きがよく分からないといった意見が聞かれる。そこで学習活動や学習形態の変化、学習構造の変化について触れ、それが子供たちの自律的な学びにどうつながるのかを明らかにする。

◎先人の社会科実践や遺産をこれからの社会科にどのように活かせるかが分かる
「社会科は何を教えたらよいのかわからない」「何に重点を置いて教えたらよいのかわからない」という声が聞かれる。このことは、学習内容の何が重要であり、どのように捉えていくべきかが分かりにくい点にあると考えられる。こうしたことから、「学習内容の構造化」に焦点を当て、それがなぜ重要視されるようになったのか、そしてその考え方が現在にどのように引き継がれ、生かされているのかについて明らかにする。

◎これから社会科が充実・発展するためにはどのような視点が必要か
「どのようにして社会科で求められる問い(学習問題)を成立させるか」「小学校社会科で『共に生きることの大切さ』をどのように学ぶか」「どうすれば教材研究・教材開発を無理なく続けられるか」「社会科の『内容』はどのように変わっていけばよいのか」「どうすれば小学校と中学校の社会科は共に発展していけるか」など、未来志向で「これからの社会科教育の目指すべき姿」を明らかにする。


【こんな先生におすすめ】
社会科教育に力を入れている先生
社会科教育を究めたい先生

目次

はじめに

序章 どの教科等にも通底する「そもそも論」
第 1 章 社会科の問題解決的な授業をどのように定着させるか
 1 現場で困っている学習問題づくりの問題をどう解決するか
 2 大切なのは知識か思考力か―「知識の構造」をどう捉えるか
 3 社会科はどのような学びへと進む可能性があるか

第 2 章 「見方・考え方」はどのように生かせばよいのか
 1 「見方・考え方」をどう捉えればよいのか
 2 「見方・考え方」の第2ステージはどのようなものか

第 3 章 日本の社会科の単元モデルはどのように発展すべきか
 1 「主体的な学び」から「主体性を発揮できる学び」へ―単元モデルをどのように構想するか
 2 社会を見つめ社会参画への意欲を高める単元モデルをどのように構想するか―パフォーマンス課題の活用
 3 「個別最適な学び」と「協働的な学び」へのアプローチで、社会科の単元モデルはどう変わるか

第 4 章 ICTは社会科の授業にとって何がよいか・活用すればどう変わるか
 1 ICT活用は何を目的とするのか
 2 ICT活用はどのような場面で効果的か
 3 デジタルか、アナログか、ハイブリッドか
 4 ICT活用は、子供たちの自律的な学びにどうつながるか

第 5 章 これからの社会科で育成を目指す資質・能力はどのようなものか
 1 社会科はどのような学力を目指しているのか
 2 社会科でこそ育成すべき資質・能力とはどのようなものか
 3 未来志向の資質・能力をどのように描くのか

第 6 章 教科横断的な内容において社会科はどのような位置付けがよいのか
 1 教科横断的なカリキュラムに社会科を関連付ける際、どのような設計がよいか
 2 教科横断的なカリキュラムに社会科を関連付けると、社会科授業の何が変わるのか
 3 STEAM教育に向けて社会科はどんな役割を果たすのか

第 7 章 先人の社会科実践や遺産をこれからの社会科にどのように活かせるか
 1 先人の実践から受け継ぐべきものは何か
 2 社会科における「構造化」を探る
 3 学習者主体の授業を問い直す

第 8 章 これから社会科が充実・発展するためにはどのような視点が必要か
 1 どのようにして社会科で求められる問い(学習問題)を成立させるか
 2 小学校社会科で「共に生きることの大切さ」をどのように学ぶか―ダイバーシティ(多様性)への着目
 3 どうすれば教材研究・教材開発を無理なく続けられるか
 4 社会科の「内容」はどのように変わっていけばよいのか 澤井陽介
 5 どうすれば小学校と中学校の社会科は共に発展していけるか

おわりに

著者略歴

他著:澤井陽介
大妻女子大学教授
東京都の公立小学校教諭、教育委員会の指導主事、副参事、文部科学省の教科調査官、視学官、国士舘大学教授を経て令和4年4月から現職。主な著書は、『澤井陽介の社会科の授業デザイン』『学級経営は「問い」が9割』『授業の見方』『授業づくりの設計図』『できる評価・続けられる評価』(いずれも東洋館出版社)、『新学習指導要領社会の授業づくり』『「本当に知りたい」社会科授業づくりのコツ』(いずれも明治図書出版)他多数。
他著:中田正浩
白百合女子大学教授
博士(教育学)。2017年版学習指導要領(小学校社会)等の改善に係る検討に必要な専門的な作業等協力者。主な著書は、『ポジティブ&リフレクティブな子どもを育てる授業づくり』(編著、学事出版、2020年)、『実践小学校社会科指導法』(編著、学文社、2021年)、『データからデザインする教師の組織的な学び』(共著、学事出版、2022年)他多数。
他著:加藤寿朗
島根大学教授
島根県生まれ。昭和62年から島根県や広島大学附属学校で小学校教諭として勤務。平成20年より現職。主な著書は『子どもの社会認識の発達と形成に関する実証的研究』(風間書房、平成19年)、『授業の心理学』(福村出版、平成26年)、『協働・対話による社会科授業の創造』(東信堂、令和元年)など多数。

ISBN:9784491053844
出版社:東洋館出版社
判型:A5
ページ数:240ページ
定価:2000円(本体)
発行年月日:2023年12月
発売日:2023年12月14日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JNT
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:JNU
国際分類コード【Thema(シーマ)】 3:JNW