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徳の教育と哲学

理論から実践、そして応用まで

編著:立花幸司

紙版

内容紹介

学校教育では、人としての「生き方」に自覚的になることの重要性が唱えられている。
自らの生き方を自覚し生きる力を養うために、「知・徳・体」の育成が掲げられている。
これら3 つのうち、「徳」とは何だろうか。
「徳」の育成が生きる力を養うことになるとはどういうことだろうか。
そして、学校という場で営まれる様々な教育活動は、具体的なところ、徳を育むことにどのように関わるのだろうか。
本書は、徳を理論と実践の両面から多角的に捉えることでこうした問いに応えようと編まれた一冊である。

【ターゲット】
哲学・教育哲学・教育学分野の研究者
学校等の教育現場に携わる教職員
教育行政に関わる役人
徳や教育に関心をもつ一般読者

目次

まえがき  1
第1部
理論編
第1章 徳倫理学(西洋)10
1.徳倫理学の復興とその基本主張  10
2.アリストテレスに基づく徳の諸相  12
3.徳倫理学に関する教育学研究の動向  15
4.徳倫理学と教育学の重なりと展望  18
第2章 徳認識論(西洋)20
1.徳認識論の登場と発展  20
2.社会認識論との接続  23
3.認識的自律性と依存性  24
4.悪徳認識論と教育  26
第3章 認識的不正義(西洋)30
1.認識実践における不正義  30
2.証言的不正義と解釈的不正義  31
3.認識的不正義の是正  34
4.教育の役割  37
第4章 徳理論と教育40
1.徳理論の展開と教育:概論  40
2.徳理論の展開と教育:現実  42
3.教育哲学における徳理論の受容と展開  44
4.批判と展望  48

第5章 東洋における徳の思想50
1.徳の誕生  50
2.様々な徳目  53
3.徳の批判者たち  56
4.徳と修養  58
第2部
実践・応用編
第6章 道徳教育における徳62
1.日本の道徳教育の概史  62
2.道徳教育の目標と内容項目  63
3.道徳性の涵養と人格の完成  66
4.アリストテレス主義的徳倫理学に基づく道徳教育の検討  68
第7章 部活動と徳72
1.部活動という教育活動  72
2.部活動と徳の涵養  74
3.部活動の課題  76
4.部活動への徳倫理学的アプローチ  79
第8章 教師の/と徳82
1.教師に求められるもの  82
2.教師の徳と資質能力  84
3.教師の徳と教員評価  86
4.教師と徳  88
第9章 学校保健と徳92
1.現代における健康と幸福:SDGsとケイパビリティ  92
2.養護教諭の活動とケアという徳  94
3.ケアの場/「居場所」としての保健室  98
4.これからの学校保健・養護・ケア  100
第10章 学習支援と徳102
1.一斉教授という方法:出自と背景  102
2.一斉教授の問題点:倫理的観点から  104
3.学習支援の必要性:アカデミック・アドバイジングを例として  106
4.学習支援者の徳  107
第11章 情報教育と徳112
1.情報教育の課題  112
2.どのようなネットリテラシー教育が必要か  114
3.ネットリテラシー教育と知的徳  117
4.最終目標としての真理の探究  120
第12章 シティズンシップ教育と徳122
1.シティズンシップの思想  122
2.シティズンシップ教育とクリック・レポート  124
3.日本におけるシティズンシップ教育  125
4.シティズンシップ教育と徳を繋ぐ  129
第13章 クリティカル・シンキング教育と徳132
1.クリティカル・シンキング教育の歴史的背景  132
2.クリティカル・シンキング能力と徳  135
3.クリティカル・シンキング能力に関わる知的徳の育成  137
4.共同探究としてのクリティカル・シンキング  139
第14章 哲学対話と徳142
1.哲学対話とは何か  142
2.哲学対話と道徳教育  144
3.哲学対話と知的徳の涵養  146
4.徳の教育の手段としての哲学対話と、哲学の「道具化」の危険性  148
文献一覧  152
索引  166
あとがき  170

著者略歴

編著:立花幸司
立花 幸司(たちばなこうじ)/編著
千葉大学 大学院人文科学研究院 助教/ジョージタウン大学メディカルセンター 国際連携研究員

ISBN:9784491053783
出版社:東洋館出版社
判型:A5
ページ数:180ページ
定価:2200円(本体)
発行年月日:2023年10月
発売日:2023年10月13日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JNA