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学習者主体の「学びの質」を保証する

2030年の学校教育を見据えた子どもと教師の学びの姿とは?

著:中田 正弘
著:坂田 哲人
著:町支 大祐

紙版

内容紹介

自律分散型学習モデル、個別最適な学びと協働的な学び、オランダやフィンランドの教育実践、ICT活用、カリキュラム・マネジメント、人材・組織開発、経験学習型リーダーシップ開発、教科等横断的な単元構想 etc.
さまざまな切り口から2030年の学校教育を見据えた子どもと教師の学びの姿を明らかにする!


◎本書刊行の背景
振り返ってみると、日本の教育はこれまでにも転換期を幾度も経てきました。あたかもゆりかごが揺れるかのように、これまでの教育改革はそれぞれ目指していた本来の目的を必ずしも果たせないまま、また次の変化、次の変化と繰り返してきたといえます。
そして今、新たな教育改革期を迎えようとしています。変革を司る一つの方向性を示しているのは、「令和の日本型学校教育」(中央教育審議会答申、2021年)に示された、子どもにとってのあらたな学びのあり方と、それを支える教師の新しい役割や働き方です。
この改革を通して、私たちはどのような果実を得ることになるのでしょうか。それを考える際に私たち執筆陣が着目したのが、「学びの質保証」です。これは、学びの「出口」や「成果」に主眼を置き、真に必要な学びのプロセスを明らかにしようとする発想であり、これまでの改革とは異なる観点から日本の教育のパラダイム転換を図る視座を提案するのが目的です。


◎本書からわかること
●オランダやフィンランドにおける「個別最適な学び」との対比からわかる日本の教育の強みと今後と可能性
●ICT活用が子どもの学びに寄与するうえで欠かせない条件
●学びの質を保証する学習の自己調整の実際
●ジョン・ハッティの教育成果から見えてくる日本の教師が果たし得る役割
●子ども学びの質を保証する教師の学びとは何か
●教師の経験が真に生かされる「背伸びと振り返り」―組織開発と人材開発の可能性
●学びの質保証を支えるカリキュラム・マネジメントの実際的運用法

目次

はじめに―AI時代の学びの質保証を考える
第1章 学びの質保証は、子どもと教師の相互作用
「個に応じた指導」「学びの保障」に関する議論と展開
 1 ゆとりと充実の中での「個に応じた指導」
 2 教育の質保証は全国学力・学習状況調査、学びの保証はICT?
 3 令和の教育の姿としての「個別最適な学び」「協働的な学び」の提言
学びのエンジンとしての「主体的な学び」
 1 「主体的・対話的で深い学び」と主体性の発揮
 2 エージェンシーの育成
参考になるシーンはある!
 1 3つのシーンから考える―その1 「選択と参加」
 2 3つのシーンから考える―その2 「自己評価の力を育む」
 3 3つのシーンから考える―その3 順序選択学習を可能にする「問い」と形成的評価
 4 学びの場・環境への着目

第2章 個別最適の議論と学びの質保証
個か全体(集団)かーオランダの教育実践との比較から
1 オランダにおける総合的な学習
2 オランダにおける自律的(Autonomous)な学び
3 オランダの教師は日本の教育や教師に対してどのような印象をもっているか
ICT活用と個別最適化
 1 テクノロジー上の視点
 2 カリキュラム上の視点
個別最適な学びと、学びの質保証
 1 個別最適な学びと学習の自己調整
 2 人としての教師の役割の再定義

第3章 人材開発、組織開発、リーダーシップ開発と学びの質保証
人材開発の機会としての校内研究
そもそも教員はいかにして学ぶのか
人材開発の機能を高める関係性への着目
2つの事例―組織開発と人材開発
組織開発の手法
IDEAL アプローチ小松町支(2022)の事例
事前検討重視型校内研究―新坊ら(2022)の事例
リーダーシップ開発としての人材開発
 1 組織の一員としての力量形成
 2 経験学習型リーダーシップ開発
そもそも論としての学習観の転換教員自身が「学習者主体の学び」を体験する

第4章 学びの質保証を支えるカリキュラム・マネジメント
カリキュラム・マネジメントは教師の創造的な営み
 1 資質・能力の育成と一体化したカリキュラム・マネジメント
 2 カリキュラム・マネジメントは、アクティブ・ラーニング(主体的・対話的で深い学び)の視点からの授業改善を後押しする! 3つの調査研究から
 3 教育課程の編成から実施の過程で起きがちな問題
カリキュラム・マネジメントを推進する要因
 1 インタビュー調査の実施とその結果
 2 質問紙調査の結果からの裏付け
カリキュラム・マネジメントの評価・改善と学校評価
 1 カリキュラム・マネジメントの評価・改善と学校評価との関係
 2 カリキュラム・マネジメントの評価・改善の取組の軸を通す
 3 教育目標と学級経営をつなぎ、単元レベルでの振り返りを重視する
1年に2回学校評価を実施し、1回目の結果を授業や教育課程にフィードバック
コミュニティ・スクールからの意見の反映、そして第三者評価
カリキュラム・マネジメント実践を学びの質保証につなげる
 1 カリキュラム・マネジメントで「教育目標」と「授業」をつなぐ!という意識をもつ―その第一歩は校長から
 2 教員間の「話し合いの時間」の確保はカリキュラム・マネジメント実践の鍵実践を下支えする組織マネジメントの点検を
 3 教師協働の可能性を広げる創造的で楽しい工夫
 4 ミドルリーダーは校内に分散し、縦・横につなぐ役割と関係性をもっている
校内研修等を通じてカリキュラム・マネジメント能力を高める
1 教育目標と育成を目指す資質・能力の関連を明らかにする
2 「つなぐ、生かす、広げる」をキーワードに、教科等横断的な授業づくりに取り組む

著者略歴

著:中田 正弘
白百合女子大学人間総合学部初等教育学科教授
東北大学大学院教育学研究科後期博士課程修了、博士(教育学)専門は教育課程経営論、社会科教育学、教師教育学。
主な著書は『リフレクション入門』(共著、学文社、2019年)、『ポジティブ&リフレクティブな子どもを育てる学級づくり』(編著、学事出版、2020年)、『データからデザインする教師の組織的な学び』(編著、学事出版、2022年)など。
著:坂田 哲人
大妻女子大学家政学部准教授
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程単位取得満期退学、修士(政策・メディア)専門は人材開発、組織開発、教師教育学・保育者養成学。
主な著書は『現代の教育改革と教師』(共著、東京学芸大学出版会、2011年)、『リフレクション入門』(共著、学文社、2019年)、『ポジティブ&リフレクティブな子どもを育てる授業づくり』(共著、学事出版、2020年)など。
著:町支 大祐
帝京大学大学院教職研究科専任講師
東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得満期退学修士(教育学)専門は教師教育学、教育経営学、教育工学。
主な著書は『教師の学びを科学する:データから見える若手の育成と熟達のモデル』(共著、北大路書房、2015年)、『データから考える教師の働き方入門』(共著、毎日新聞出版、2019年)、『教員の職場適応と職能形成』(共著、ジアース教育新社、2021年)など。

ISBN:9784491051642
出版社:東洋館出版社
判型:4-6
ページ数:192ページ
定価:2100円(本体)
発行年月日:2023年11月
発売日:2023年11月14日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JNT
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:JNU
国際分類コード【Thema(シーマ)】 3:JNW