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家庭の中から世界を変えた女性たち

アメリカ家政学の歴史

著:ダニエル・ドライリンガー
監:上村 協子
監:山村 明子

紙版

内容紹介

アメリカ初の女性の職業化学者エレン・スワロウ・リチャーズ。黒人への教育普及に尽力したマーガレット・マレー・ワシントン。彼女たちを代表とするアメリカの家政学者たちは、「女性が家の掃除だけで一生を終えることをよしとせず」「家庭を人類の進歩が反映される場所へとアップデートする」ことを目指した。本書は、女性が単調な家事から解放され社会進出を叶えるのを後押しするために奮闘し、女性の地位向上と社会参画、生活の質の改善、職業創出に大きな役割を果たしたアメリカの家政学者たちの、現代にいたるまでの足取りを丁寧に追ったものである。家事労働を軽減するための技術開発、企業と共に取り組んだ食品開発、学校給食制度の設立、さらにはNASAと協力して宇宙飛行士の栄養補給食の発明など「家政学の力」で社会の発展に貢献してゆくさまが、生き生きと描かれている。家政学者の活躍の軌跡から見えてくるのは、現在当然のようにある権利が先人の努力によって勝ち取られたものであることや、人種差別問題、男女の格差、家庭や職場におけるジェンダー役割の問題、環境問題など、当時から社会問題とされたものが今なお克服されていないということだ。現代を生きる私たちにとって非常に示唆に富むところの多い、貴重な作品である。

目次

第1章 家政学への道/第2章 レイク・プラシッド会議/第3章 食料が戦争を打ち負かすだろう/第4章 たぶんこれは、そもそも男性の仕事ではなかった/第5章 女性次第で世の中は変わる/第6章 服につく虫はヒトラーの味方/第7章 つなぎから部屋着へ/第8章 オーブンミトンのなかの鉄拳/第9章 主婦の奥様に売り込む/第10章 新たな道筋/第11章 「ニュー・ホームメーカーズ」が未来を創る/第12章 縫い物と料理を超えて/第13章 敵に向けての演説/第14章 危機に立つ家政学/第15章 エレンならどうする?/終章 家政学をとり戻すには/監訳者解説 多様で選択可能な社会へ――「生活者」視点の家政学(上村協子・山村明子)

著者略歴

著:ダニエル・ドライリンガー
ジャーナリスト。2017年、アメリカ・ルイジアナ報道協会によって「最高のライター」に選出される。2018年にはミシガン大学にジャーナリズム専門のフェローとして勤める。多様性、政治、特に家政学におけるフェミニストの歴史について執筆。

ISBN:9784490210750
出版社:東京堂出版
判型:A5
ページ数:464ページ
定価:5400円(本体)
発行年月日:2022年12月
発売日:2022年12月13日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:VF