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孤独の歴史

著:デイヴィド・ヴィンセント
訳:山田 文

紙版

内容紹介

人類は長年にわたって、孤独と共存してきた。本書では18世紀から現代にわたって、歴史上どのように人々が孤独と向き合ってきたか、文学、歴史、社会の観点から幅広く事例を紹介している。社交から離れひとり身を置く時間をつくることで、作家は創作のインスピレーションを得た。また孤独は切手の収集、手芸、ガーデニング、喫煙、田園散策など、ひとりで楽しめる数多くの娯楽の流行をもたらし、それは現代まで生き続けている。一方で孤独は精神疾患の原因や反社会的行動につながりかねないとされたりするなど、否定的な評価を受けることもあった。修道院や刑務所の独房など長期間強いられる孤独が心に与える打撃についても言及する。今の時代はスマートフォンの普及によりひとりの状態にありながらも、社会と交流できるようになっており、それに伴い現代ならではの新たな孤独の問題も生まれている。本書で扱うさまざまな事例はイギリスが中心ではあるが、テーマ性は国や時代を超えた普遍性を帯びている。とりわけ今の時代はコロナ禍によりソーシャルディスタンスやテレワークが推奨され、望もうと望むまいと、多くの人が孤独と向き合わざるを得なくなっている。幅広い観点で人類が孤独をどうとらえてきたかを描いた本書は、大きな今日性を有し、読み手に多くの示唆を与えてくれる。「ソーシャル・ディスタンス」という言葉が時代を定義するキーワードのひとつとなっている状況において、今、もっとも読むべき価値のある注目の書。

目次

序 章 孤独を考える
第1章 孤独よ、汝とともに歩かん
第2章 一九世紀に家でひとり過ごすこと
第3章 祈り、修道院、監獄
第4章 二〇世紀の孤独と余暇
第5章 霊的なものの復興
第6章 「孤立の流行病」を再考する
終 章 デジタル時代の孤独

著者略歴

著:デイヴィド・ヴィンセント
オープン大学名誉教授、元副学長代理。イギリスおよびヨーロッパの近代史について幅広く執筆しており、1800年以降の労働者階級の自叙伝、読み書き能力と大衆文化、マス・リテラシーの台頭、秘密主義の文化、プライバシーとそのジレンマなどについての多くの著書がある。邦訳に『パンと知識と解放と――19世紀イギリス労働者階級の自叙伝を読む』などがある。
訳:山田 文
翻訳者。訳書にイアン・ヴォルナー『壁の世界史──万里の長城からトランプの壁まで』、ヴィエト・タン・ウェン『ザ・ディスプレイスト──難民作家18人の自分と家族の物語』、キエセ・レイモン『ヘヴィ──あるアメリカ人の回想録』、ダレン・マクガーヴェイ『ポバティー・サファリ──イギリス最下層の怒り』などがある。

ISBN:9784490210538
出版社:東京堂出版
判型:A5
ページ数:432ページ
定価:6500円(本体)
発行年月日:2021年09月
発売日:2021年09月27日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:VSP