ちくま文庫 う-46-1
関東大震災と鉄道
「今」へと続く記憶をたどる
著:内田 宗治
内容紹介
崩れる建物、燃えさかる街、列車へ押し寄せる避難民……
激震を生き抜いた鉄道員たちのドラマ
発災100年、いつか必ず来る日のために知るべき過去
1923年9月1日、関東大震災。10万人以上の死亡・行方不明者数を記録した日本史上最大規模の天災だが、人々の生活の動脈であった「鉄道」の被害に焦点が当てられる機会は存外少ない。カオスそのものの限界状況下、列車に載せた命を救うべく奮闘した鉄道員たち、互いを助け合った乗客たち──その機転と智恵から何を学ぶか? 残された声を丁寧に追う貴重な災害史。解説 今尾恵介
目次
井伏鱒二の中央本線脱出行
第1章 根府川駅大惨事
1 国府津発真鶴行き普通列車
第2章 巨大ターミナルと群衆
1 東京駅「早く線路に飛び降りろ!」
2 上野駅 避難列車、発車できず
第3章 急停車した列車の運命
1 関東大震災、被害の全貌
2 一二五本の列車
3 被災列車にドラマあり「海へ墜落してでも進行させよ」
4 線路、橋、トンネル
5 大破、消滅した駅
6 水を確保せよ
7 省線電車と私鉄
8 鉄道を襲った津波の数々
第4章 通信と報道
1 鉄道電話寸断
2 新聞記者奮闘す めざせ、大阪一番乗り
第5章 猛火との戦い
1 三日間燃え続けた東京市内
2 東京駅の存亡は、車掌室の死守にあり
3 翌日、猛火は上野駅に迫った
4 都心駅を焼き尽す
5 四〇〇両が、路上で灰燼に帰した東京市電
6 崩れた街を猛火が襲った横浜
第6章 避難列車
1 避難民を無賃輸送
2 避難列車道中記 大震災に人情あり
3 救援に駆けつけた関釜連絡船
4 復旧への道のり
5 郊外電車の時代へ
おわりに
文庫版あとがき
解説 今尾恵介