ちくま文庫
東京骨灰紀行
著:小沢 信男
紙版
内容紹介
小沢信男晩年の代表作大江戸・大東京の乱離骨灰史震災・大空襲・牢屋敷跡・仕置場跡……掘り起こす、鎮魂行。アスファルトの下に累々と埋もれる、江戸・東京の骨灰。明暦の大火このかた、震災と大空襲の犠牲者までをまとめてご供養の両国から、小伝馬町の牢屋敷跡、小塚原の仕置場跡、地下鉄サリン事件の築地、お骨の大量入居地、谷中墓地に多磨霊園…。無数の骨灰たちの彼方に、この国の首都の来し方、忘れ去ってきたものが見えてくる。東京の記憶を掘り起こす鎮魂行。「江戸の遊芸人がゆき、明治の車夫馬丁がゆき、大正の林芙美子がゆき、街娼がゆき、昭和恐慌のルンペンがゆき、府立六中学生がゆき、戦後のパンパン諸嬢がゆき、オカマ諸兄がゆき、お好み焼き屋の女あるじがゆき、徹夜麻雀の輩がゆき、この道を笑ってわれらが往きしことわが忘れなばたれか知るらむ。」 本書は、それら膨大な数にのぼる、この街の亡き者たち、つまり、人民の歴史の街頭行列に立ちまじり、現世の東京をにらみ返すがごとき構図である。(黒川創「解説」より)
目次
ぶらり両国新聞旧聞日本橋千住、幻のちまたつくづく築地ぼちぼち谷中たまには多磨へしみじみ新宿両国ご供養あとがき文庫版あとがき解説「足裏が見る世界」黒川創