患者のための最新医学 うつ病
改訂版
監:坪井 康次
内容紹介
症状・治療法を正しく知り、心の健康を取り戻す
うつ病の患者さんは、年々増えつづけており、最新のデータによると、患者数は全人口の約1割と報告されています。
いまや、だれでもかかりうる「ありふれた病気」といえますが、放置しておけば確実に悪化し、自殺のおそれさえある病気です。
早期に発見して適切に治療すれば、十分に治すことができますので、
患者さん本人や周囲の人が早期に気付くことと、専門家による適切な治療を受けることが何よりも大切です。
本書では、患者さん本人はもちろんのこと、家族や職場などまわりの人々にも正しく理解していただくために、
うつ病の症状について、最新の薬物療法をはじめ、誤診・誤解されやすい「双極性障害(躁鬱病)」とうつ病の見分け方、
認知行動療法などの「精神療法」、患者さんの日常生活の改善や生活習慣の見直し、再発予防についても、できるだけ分かりやすく解説しています。
精神疾患は、当事者はもちろんのこと、当事者とのかかわりの中で家族が悩みをかかえていることも少なくありません。
改訂版では、新規で「うつ病をさらによく知るためのQ&A」を設けました。
症状の見分け方について、薬物療法や治療中の症状について、より一層知識を深めて頂けます。
目次
はじめに
第1章 うつ病の症状についてよく知ろう
こんな症状はありませんか?/うつ病は自分では気づきにくい
うつ病は心と体に症状があらわれる /「ゆううつな気分」と「うつ病」の違い/
うつ病の「感情面」の症状/うつ病の「意欲・行動面」の症状/うつ病の「思考面」の症状/
うつ病の「身体面」の症状/世代で異なるうつ病の症状/女性のうつ病
・コラム 冬季うつ病
第2章 うつ病とはどんな病気?
うつ病は珍しい病気ではない/最近のうつ病の傾向/うつ病はどのように進行するか/回復までのプロセス/
うつ病と症状が似ている病気(不安障害/心身症/統合失調症/認知症/慢性疲労症候群/境界性パーソナリティ障害)/
うつ病と双極性障害(躁うつ病)/うつ状態を起こしやすい体の病気/薬剤が引き起こすうつ病/うつ病と合併しやすい病気
・コラム ふえている「難治性うつ病」
・コラム 「自律神経失調症とうつ病」
第3章 うつ病はどうして起こる?
うつ病になるきっかけ・誘因/うつ病になりやすい性格/急激な環境の変化/
ストレスがあたえる影響/ストレスを受けやすいタイプ/ストレスホルモンと脳内の変化
・コラム 双極性障害の脳内の変化
第4章 うつ病になってしまったら
うつ病も早期発見・早期治療が大切/よい医師の見つけ方/はじめての診察で聞かれること
うつ病の診断の目安/うつ病と診断されたら/まずは十分な休養をとること
家族の役割①患者さんとの接し方 ②いってはいけない言葉・かけたい言葉 ③日常生活でのサポート ④自殺を防ぐ/職場との連携/
・コラム 「外因性」「心因性」「内因性」という分け方
第5章 うつ病はどう治す?
うつ病治療の基本
薬物療法 ①抗うつ薬 ②抗不安薬 ③睡眠薬・気分安定薬・抗精神病薬 ④薬物による治療の基本方針
⑤薬の服用にあたっての注意点 ⑥抗うつ薬の副作用への対処法
精神療法 ①精神療法とは? ②認知行動療法 ③対人関係療法 ④そのほかの精神療法 /薬が効かない場合の治療法
・コラム 入院が必要なケース
第6章 再発予防と社会復帰
うつ病は再発しやすい/再発を防ぐポイント/
・コラム 再発予防のための「維持療法」
ストレスをためない工夫 ①生活のリズムをととのえる ②悪玉ストレスを減らす ③ストレスに対する抵抗力をつける
④ストレスを上手に解消する ⑤心と体の緊張をやわらげる ⑥質のよい食事と睡眠/社会復帰のタイミング
【うつ病をさらによく知るためのQ&A】
索引