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大切な人を亡くしたあなたへ 自分のためのグリーフケア

著:坂口 幸弘

紙版

内容紹介

死別はけっして他人事ではなく、誰もが一度ならず経験する可能性のある出来事です。
とはいえ、ごく身近な家族との死別はそうそう経験するものではありません。配偶者や子どもとの死別の場合は、初めて経験する人がほとんどでしょう。過去に経験したことのない心の痛みに戸惑い、目の前がまっ暗になったように感じることもあります。

大切な人を亡くした時に、
「この悲しみとどう向き合えばいいんだろう?」
「今の苦しみがいつまで続くのだろう?」
「これから先、どうやって生きていけばいいんだろう?」
といった思いを多くの人が抱くことになります。

著者はグリーフワークの第一人者、関西学院大学人間福祉学部人間科学科教授の坂口幸弘。大切な人を亡くし、深い悲しみの中で、これらのような思いを抱えている人に読んでもらいたいとの考えから書かれています。

死別の悲しみを抱えたときに必要な支えは、“グリーフケア”と呼ばれています。
本来は専門家によって行われるケアですが、死別を経験した人すべてに専門的な支援が必要なわけではありません。死別にともなう悲しみは、一般的に自然で正常な反応ですので、多くの場合、自分一人の力で、あるいは周囲の人の温かい支えがあれば何とか対処することもできます。

本書は、死別の悲しみを自分でケアすることを目的としています。
そのために、まずはグリーフを知る、悲しみが癒されていくプロセス、深い悲しみに中にいるときに大切なこと、一歩を踏み出すためにできること、悲しみに向き合うためのワーク、きっとあなたの役に立つ情報といったことが書かれています。
 ワークはQRで読み取りプリントでき、書き込めるようになっています。悲しみの中にいる人が読みやすいように、簡潔な文章と、図やグラフ、イラストをふんだんに使いわかりやすく構成されています。

大切な人の死に直面した人はもちろん、死別を経験した友人や知人が身近にいる人や、職業上で遺族に接する機会の多い人におすすめの一冊です。

目次

〈1章〉 まずはグリーフを知る
つらい別れ、死別
悲嘆(グリーフ)を知っていますか?
① 感情的反応
② 認知的反応
③ 行動的反応
④ 生理的・身体的反応
記念日反応には要注意! 
うつ病との違いは何?
子どもの悲嘆の特徴 ほか

〈2章〉悲しみが癒されていくプロセス
立ち直りのプロセス グリーフワーク
①「愛着理論」 
②「段階・位相モデル」
③「課題モデル」
④「二重過程モデル」
⑤「意味再構成モデル」
継続する絆
レジリエンス

〈3章〉深い悲しみの中にいるときに大切なこと
今日一日をとにかく生きる
人それぞれの悲しみがある
泣いても泣かなくてもいい
怒りへうまく対処する
時間が心を癒してくれる
自分を許すことも大切
体を休める ほか

〈4章〉一歩を踏み出すためにできること
死別体験について知ること
自分の気持ちを人に話す
書いて心を整理する
思い出を大切にする
生活のリズムを整える
いつもと違う時間を過ごす
失っていないものに目を向ける ほか

〈5章〉悲しみに向き合うためのワーク
死別の影響図
亡き人との往復書簡
あなたへのおくりもの
メモリー・ボックス
コラージュ
亡き人とつながる場所 ほか

〈6章〉きっとあなたの役に立つ情報
心を癒してくれる絵本
大切な人を亡くした人の体験記
悲嘆やグリーフケアを学ぶための本
ピアサポートや分かち合いの会
遺族のための相談機関

著者略歴

著:坂口 幸弘
1973年、大阪府生まれ。関西学院大学人間福祉学部人間科学科教授。大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了、博士(人間科学)。専門は臨床死生学、悲嘆学。死別後の悲嘆とグリーフケアをテーマに、主に心理学的な観点から研究・教育に携わる一方で、ホスピスや葬儀社、保健所などと連携してグリーフケアの実践活動を行ってきた。著書に『増補版 悲嘆学入門-死別の悲しみを学ぶ』(昭和堂)、『喪失学―『ロス後』をどう生きるか?』(光文社新書)、『死別の悲しみに向き合う―グリーフケアとはなにか』(講談社現代新書)などがある。

ISBN:9784422320861
出版社:創元社
判型:A5
ページ数:144ページ
定価:1600円(本体)
発行年月日:2023年11月
発売日:2023年11月10日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:VSP