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叢書パルマコン 02

☆増補☆ 聖別された肉体

オカルト人種論とナチズム

著:横山 茂雄

紙版

内容紹介

現在においても、公認文化から排斥され、深層に抑圧された無意識的な概念の表出する舞台であるオカルティズム。
それは近代ヨーロッパにおいて社会ダーヴィニズムと接合し、とりわけナチ・ドイツにおいて、フェルキッシュな人種論として先鋭化、ついには純粋アーリア=ゲルマン人種のホムンクルスを造らんとする計画が「生命の泉」で実行に移されようとするまでに至った。
ヨーロッパの底流に流れるそのオカルティズムの全体と本質を初めて明らかにした幻の名著がついに増補再刊。
叢書パルマコン第二弾!
※初版は、1990年に書肆風の薔薇(現、水声社)から発行。

目次

【目次】
第1章  ウィーン=バビロン
第2章  鉤十字の城
 1 ランツの『神聖動物学』
 2 ヒトラーと『オースタラ』
 3 「新聖堂騎士団」
 4 アリオゾフィの展開
第3章  根源人種の彼方に
 1 オカルト・リヴァイヴァルと神智学協会
 2 ブラヴァツキーの『秘奥の教義』
 3 人と獣の交合
 4 ユダヤ人とチャンダーラ
 5 反ユダヤ主義とオカルティズム
 6 帝政末期ロシアのオカルティズム
第4章  予言者たち
 1 『神智学とアッシリアの獣人』
 2 独墺における神智学の展開
 3 リストの「アルマーネンシャフト」
 4 「北極」の白色人種
 5 「リスト協会」の設立
 6 シュヴァービングとアスコーナ
 7 ヘッケルの唯物論的一元論[モニスムス]とフェルキッシュ思想
 8 「血はまったく特製のジュースだ」
第5章  ナチ出現前後
 1 「トゥーレ協会」の影
 2 ゼボッテンドルフと右翼政治運動
 3 ゴルスレーベンと「エッダ協会」
 4 アリオゾフィの復興
第6章  「二十世紀の神話」
 1 弾圧されるオカルティズム
 2 ローゼンベルクと「北方」のアトランティス
 3 人種論と性的妄想
 4 親衛隊大佐シュヴァルツ=ボストゥニッチュ
 5 オカルト人種論とナチ人種論
 6 「新たなる貴族」の育成
第7章  「祖先の遺産」
 1 ヒムラーとオカルティズム
 2 アーネンエルベと宇宙氷説
 3 ヴィリグート、親衛隊のラスプーチン
 4 「聖杯の城」ヴェーヴェルスブルク
第8章  ホムンクルスの流産
 1 「生命の泉」
 2 優生学の悪夢
 3 オカルト人種論という暗渠

附録
 Ⅰ 歪んだ性意識――ヴァイニンガー、シュレーバー、ランツ
 Ⅱ 玄米、皇国、沈没大陸
 Ⅲ J・ランツ=リーベンフェルス博士『神智学とアッシリアの獣人』(抄)

あとがき
三十年後のあとがき
解説(森貴史)
索引

著者略歴

著:横山 茂雄
1954年大阪府生まれ。英文学者、作家。京都大学文学部卒、博士(文学)。奈良女子大学名誉教授。筆名に稲生平太郎、法水金太郎など。著書に『神の聖なる天使たち―ジョン・ディーの精霊召喚 一五八一~一六〇七―』(研究社)、『異形のテクスト―英国ロマンティック・ノヴェルの系譜―』(国書刊行会)、稲生名義で『アクアリウムの夜』(書肆風の薔薇、のちに角川スニーカー文庫)、『アムネジア』(角川書店)、『定本 何かが空を飛んでいる』(国書刊行会)、『映画の生体解剖―恐怖と恍惚のシネマガイド―』(高橋洋との共著)(洋泉社)など。編著書に『危ない食卓―十九世紀イギリス文学にみる食と毒―』(新人物往来社)、水野葉舟『遠野物語の周辺』(国書刊行会)、『日影丈吉全集』全9巻(日下三蔵との共編)(国書刊行会)など、翻訳書にマーガニータ・ラスキ『ヴィクトリア朝の寝椅子』(新人物往来社)、J・G・バラード『残虐行為展覧会』(法水名義)(工作舎)など多数がある。

ISBN:9784422202945
出版社:創元社
判型:A5
ページ数:382ページ
定価:3800円(本体)
発行年月日:2020年08月
発売日:2020年08月27日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:VXP