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神田橋條治が教える 心身養生のための経絡・ツボ療法

著:神田橋 條治

紙版

内容紹介

本書は、精神科医としての臨床歴が半世紀を超える著者が、
現代の精神科医療のあり方に危機感を抱きつつ、
患者さんと医療の未来のために、切なる希望をこめて著した一書。
文中、著者の実際の施術の様子を、QRコードで視聴できるようにし、
巻末には、十二経絡に関する概説を付録として添えた。

精神科臨床の現場は、現代社会の中で多くのストレスにさらされ、
押しつぶされ、すり減らされた心が、さまざまな病を顕現させて
悲鳴をあげている現場でもある。
混乱と多忙をきわめる場であるがゆえに、患者と真に向き合う精神療法に
習熟する前に、症状を薬で抑えることが安易に優先されているのではないか
と著者は言う。

著者はまた、本書を患者や家族のための「自助の書」にしたいと、
みずから心身養生のために実践し工夫を重ねてきた方法をいくつも
紹介している。
ことに第1章から第3章までは、東洋医学の「経絡」と「ツボ」についての
考え方の大枠を紹介しながら、ごく普通の人たちが日常生活の中で
手軽にできる方法を丁寧に紹介する。
同時に、快不快に対する鋭敏な感覚を養う訓練についても言及している。
心身を健康に保つためには、「気持ちがいい」状態と「嫌」だと感じる状態を
明確に区別して感じ取れる鋭敏なセンサーを養うことが大切だからである。
第4章から第8章までは、専門家向けの施術について詳しく述べ、
第9章・第10章は再び一般読者に向けての健康法(=養生法)に戻る。
そして最後の第11章では、さまざまなモデル症例を挙げながら具体的な
実践例についても紹介する。

本書では、目に見えない経絡やツボについての記述が多く、またイメージを
駆使した実践が多いために、簡単なようでいて、すぐに結果が出るものでは
ないし、根気づよい練習が必要なものも多い。
しかし、なによりも、鈍麻してしまった心身の「自然治癒力」を取り戻し、
快不快の自然な感覚を取り戻してゆこうとすることは、「いのち」の目指す
本来の道に沿うものであろう。

服薬すること以外に方便をもたぬ患者さんたち、自身の生きる環境を変える
ことができない人たち、薬物の効果が期待できない人たちには、著者の語る
「自然に反しない試みや小さな工夫」は、きっと希望となり、大きな救いと
なりうるだろう。
また、病む人たちだけでなく、ストレスの多い現代社会に生きる「健常」と
言われる人たちにとっても、大いに役立つものとなるだろう。
さらには、いまの精神科臨床に少なからぬ違和感をもち続けている心ある
臨床家たちにとっても、刺激となり、かならずや支えとなるに違いない。

目次

まえがき

第一章 「指いい子」

第二章 「センサーとしての身体(からだ)」を育てる

第三章 《労宮(ろうきゅう)》を用いた気功治療

第四章 「気」の治療における基本的心得

第五章 探索と施術のカギはビーム

第六章 ツボの本質についての体験と仮説

第七章 ツボを探し判別する
1
第八章 経絡・ツボ療法の実技

第九章 泉の気功

第十章 「足指いい子」で脳を癒す

第十一章 さまざまなモデル症例

付録
1.白柳整体の初等実技
2.脳を冷やす
3.経絡
4.正経十二経の走行

あとがき

索引 

著者略歴

著:神田橋 條治
神田橋條治(かんだばし・じょうじ)

鹿児島県生まれ。1961年に九州大学医学部を卒業後、1984年まで同大学医学部精神神経科。現在、鹿児島市にある伊敷病院に非常勤で勤めるかたわら、後輩の育成と指導に努める。
著 書 『精神科診断面接のコツ』岩崎学術出版社、1984年(追補 1994年)
『「現場からの治療論」という物語』岩崎学術出版社、2006年
『技を育む』〈精神医学の知と技〉中山書店、2011年
『神田橋條治 精神科講義』創元社、2012年
『神田橋條治 医学部講義』創元社、2013年
『発達障害をめぐって』岩崎学術出版社、2018年
『心身養生のコツ』岩崎学術出版社、2019年(『精神科養生のコツ』改訂)
共著書 『発達障害は治りますか?』花風社、2010年
『神田橋條治の精神科診察室』IAP出版、2018年、ほか。

ISBN:9784422117324
出版社:創元社
判型:4-6
ページ数:160ページ
定価:2200円(本体)
発行年月日:2020年06月
発売日:2020年06月10日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MBN