内容紹介
本書は、イギリスの著名な分析心理学者の一人であるアンソニー・ストーによる、ユングの代表的著作および諸論文からの精選抜粋集である。ユングは生涯を通じて精力的に著述活動を続け、その全集は18巻におよぶ。さらに書簡集が2巻とフロイトとの往復書簡集、自伝がある。それら全てを読破するのは困難だが、本書は、10章に分けてユングの文章をそのまま引用し、各章に編者による解説と案内文が付されたもので、1冊でユング心理学の本質的特徴を汲み取ることができるものである。
目次
編者まえがき
第一章 初期の仕事
第二章 フロイトとの蜜月、その理論からの懸隔
第三章 集合的無意識と元型理論の発展
第四章 元型―影、アニマ、アニムス、ペルソナ、老賢者
第五章 タイプ論とこころの自己調整
第六章 個人の発展
第七章 統合、全体性、自己
第八章 対立するものと自己―悪の問題と神
第九章 ウーヌス・ムンドゥスと共時性
第一〇章 人間とその未来
監修者解説
原注
訳注
ユングの生涯と業績年表
用語解説
著作目録
索引
著者略歴
編著:A・ストー
アンソニー・ストー(Anthony Storr)
1920年生まれ。ウィンチェスターにあるキリスト教大学ケンブリッジ校,その後ウェストミンスター病院で教育を受ける。1944年に医師資格を取得したのち,精神医学を専門としランネル精神病院とモーズレー病院に勤務する。ユング研究所で分析家としての訓練も受けるが,分析心理学のどの学派の信奉者としてみられることも好んでいない。主著に,『完全な人格』(1960),『性的逸脱』(1964),『人間の攻撃性』(1968),『人間の破壊主義』(1972),『創造のダイナミックス』(1972),『心理療法の技術』(1979)などがある。また,多くの論文の論評や論説を『サンデイ・タイムズ』誌の文芸時評付録と『スペクテイター』誌に寄稿している。現在,ストー博士は,オックスフォード州の心理療法顧問,オックスフォードのグリーン大学評議員,オックスフォード大学の精神医学臨床講師である。
監:山中 康裕
山中康裕(やまなか やすひろ)
1941年生まれ。1971年,名古屋市立大学大学院医学研究科修了,医学博士。京都大学名誉教授,京都ヘルメス研究所所長。浜松大学大学院教授。精神科医,臨床心理士。第19期日本学術会議会員(任命権者,小泉純一郎)。著書に『少年期の心』新書(中央公論新社),『絵本と童話のユング心理学』(ちくま学芸文庫),『老いのソウロロギー』(ちくま学芸文庫),『臨床ユング学入門』新書(PHP),『臨床心理学』(共編,創元社),『知の教科書ユング』(講談社),『心理臨床と表現療法』(金剛出版),『山中康裕著作集』(全6巻,岩崎学術出版社),『心理臨床学のコア』(京都大学学術出版会)など。訳書に『ユング心理学辞典』(監修,創元社),『ユング』(共訳,理想社),『老愚者考』(監訳,新曜社),『悪における善』(共訳,青土社)など多数ある。
他訳:菅野 信夫
菅野信夫(かんの しのぶ)
1953年生まれ。1976年,京都大学教育学部卒業。1981年,京都大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。現在,京都橘大学健康科学部教授。著書『夢と象徴の深層』(有斐閣),『臨床心理学2』(創元社),『心理臨床と宗教性』(創元社)(いずれも共著)ほか。
ISBN:9784422117317
。出版社:創元社
。判型:A5
。ページ数:496ページ
。定価:5400円(本体)
。発行年月日:2020年05月
。発売日:2020年05月27日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MKM。