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京大心理臨床シリーズ 12

いのちを巡る臨床

生と死のあわいに生きる臨床の叡智

監:皆藤 章
編:高橋 靖恵
編:松下 姫歌

紙版

内容紹介

近年の科学技術と医療技術の急速な発展によって、「病とともに生きる」「医療とともに生きる」「科学技術とともに生きる」側面が拡大してきた。そこでは、いのちの本質、生と死の本質、人間の本質、自己の本質といった、人間が古代から掲げてきた問題に新たな捉え直しとアプローチが求められている。本書では、こうした問題にさまざまな臨床現場における第一線の臨床家が、心に学ぶことを通じて、それぞれの心が捉えた、その現代的・未来的意義と普遍的意義についての論を展開している。人生にとって真にかけがえのないものとは何なのか。「生きる」とは、「死に逝く」とは何なのか。暴力が政治、経済、社会、文化、教育など、さまざまな領域に侵襲し、人間の営みを危機に陥れている現代にあって、人類はどのように創造へと向かうのだろうか。臨床心理学、医療人類学、医学等の臨床現場から寄せられた、瑞々しい論文集。

目次

「京大心理臨床シリーズ」の刊行にあたって
新たな船出にあたって
病とともに生きること、医療と科学技術とともに生きることをめぐる、普遍性の個性化への問い――はじめに に代えて
伝 牧谿「竹雀図」について 

特別寄稿 人生に訪れる変容   アーサー・クラインマン〔皆藤 章訳〕

第1章 何もしないことに全力を注ぐ――アーサー・クラインマンの「プレゼンス」に寄せて   皆藤 章
第2章 いのちの要請に応える学問の誕生
1……臨床実践指導学の誕生とその後の発展――第四ステージへの出立
  高橋靖恵
2……糖尿病医療学の誕生と発展、今後の展望   森崎志麻

第3章 周産期医療現場におけるいのちの臨床  白神美智恵

第4章 心的外傷における沈黙――「平等に漂う注意」についての文化論的考察   西 見奈子

第5章 現在の家族における暴力を考える――暴力性の意味と心理臨床のありかた   布柴靖枝

第6章 医療の場におけるケアするひとへのケア――医療従事者の心理的支援という実践から   坂田真穂

第7章 ケアに生きる臨床とスーパーヴィジョン
  ――セラピストは無用であることの苦痛にどう持ち堪えるか   長谷綾子

第8章 がん治療を受けるひとと社会をつなぐケアの本質   野澤桂子×皆藤 章

第9章 想い出のケアをすること   アーサー・クラインマン〔皆藤 章訳〕

特別寄稿 愛しさ いとしさとかなしさのあわいに   松木邦裕

おわりに
監修者あとがき

索引
執筆者紹介

著者略歴

監:皆藤 章
皆藤 章(かいとう・あきら)
京都大学大学院教育学研究科教授。博士(文学)。臨床心理士。著書『風景構成法―その基礎と実践』『生きる心理療法と教育―臨床教育学の視座から』『風景構成法のときと語り』(いずれも誠信書房)、『風景構成法の事例と展開―心理臨床の体験知』(共編著、誠信書房)、『講座心理療法8 心理療法と現代社会』(共著、岩波書店)、『臨床心理学全書7 臨床心理査定技法2』(編著、誠信書房)、『ケアをすることの意味―病む人とともに在ることの心理学と医療人類学』(編著・完訳、誠信書房)。訳書『子どもの夢1』『同2』(共訳、人文書院)、『八つの人生の物語―不確かで危険に満ちた時代を道徳的に生きるということ』(監訳、誠信書房)他多数。
編:松下 姫歌
松下姫歌(まつした・ひめか)
京都大学大学院教育学研究科准教授。博士(教育学)。臨床心理士。著書『これから始める臨床心理学』(共著、昭和堂)、『バウムの心理臨床』『箱庭療法の事例と展開』(いずれも共著、創元社)、『現代のエスプリ別冊 中年の光と影』(共著、至文堂)他多数。

ISBN:9784422113142
出版社:創元社
判型:A5
ページ数:328ページ
定価:3800円(本体)
発行年月日:2018年03月
発売日:2018年03月29日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MKM