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こころの臨床セミナーBOOK

無心の対話

精神分析フィロソフィア

著:西平 直
著:松木 邦裕

紙版

内容紹介

人と人の“対話”はいつも、瞬間瞬間の相互作用に満ちていて、そこでは我と汝の「もの想い」がダイナミックに触れあっている。人間まるごと(言葉・気持・考えにならないものも含めて)がインターフェイスとなる「精神分析」では、いったいどのような“対話”が生じているのか? 本書ではその現場を、どこまでも「生身の体感」をもとに哲学する。また、日本古来の“無心”という側面から、あるいは“稽古”という設定から、人と人の出会いのビビッドな動感を描き出す。――精神分析家が哲学者に何を語ることが出来るか? 哲学者は精神分析の根底にいったい何を読むか?! 稀代の異種ダイアローグを目の前にして、私たちは何を考えるか……。精神分析家:松木邦裕は元・日本精神分析学会会長、京都大学名誉教授哲学者:西平 直は京都大学大学院教育学研究科教授(臨床教育学)

目次

出 会 い ―― 対話のはじまる前に



  体験するひと ―― はじまりの対話
     自分と向きあう契機
     生きている転移
     クローズドな世界をたゆませる
     どこまでも落ちていく
     世界が解けていく


稽 古 ―― 自分と向きあう契機              
    無- 意識で非- 常識なわたし
    なにかが欠けているわたし
    自分で自分の問題に    
    方法としてのわたし    
    ぐるっと周って日常に    
    自分をからかう能力    

二重の見 ―― 生きている転移/逆転移          
    ほぐさない 和らげない    
    悲しめるようになる     
    失敗に気づき 失敗を検討する
    失敗の再現をとおして    
    自分のなかにあるものへの接近
    行きつ戻りつ 深まる    

無 心 ―― 平等に漂う注意「もの思い」             
    それだけではなく       
    反転のダイナミズム      
    「即」の発想        
    内から生じる動き       
    ゆるめて 開かれて       

循環・往来 ―― ワーキングスルー             
    持ちこたえる自分を見つける
    似せぬ 似得る       
    いったん諦める       

機 ―― 底つきとタイミング                       
    突き落とされるなかで
    木乃伊とりになる木乃伊たち
    どこまでも落ちて      


 自分を生きるひと ―― おしまいの対話            
    道をもとめて        
    おしまいに         



    お 別 れ ―― 対話のおわったあとで

著者略歴

著:西平 直
西平 直 (にしひら・ただし)

1957年、山梨県生まれ。
信州大学人文学部卒業。東京大学大学院教育学研究科博士課程修了。専攻は教育人間学、宗教心理学。
東京大学教育学部助教授、准教授をへて、京都大学教育学研究科教授(臨床教育学講座、臨床教育学専攻)。
『エリクソンの人間学』東京大学出版会1993
『教育人間学のために』東京大学出版会2005
『世阿弥の稽古哲学』東京大学出版会2009
『無心のダイナミズム 「しなやかさ」の系譜』 岩波現代全書、2014年
『誕生のインファンティア』 みすず書房、2015年
ほか多数
著:松木 邦裕
松木邦裕(まつき・くにひろ)

1950年、佐賀県生まれ。
1975年、熊本大学医学部卒業。
1999年、精神分析個人開業。
2009-2012年、日本精神分析学会会長。
2009-2016年、京都大学大学院教育学研究科教授。
日本精神分析協会正会員、京都大学名誉教授。

ISBN:9784422113104
出版社:創元社
判型:A5
ページ数:168ページ
定価:2700円(本体)
発行年月日:2017年12月
発売日:2017年12月20日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MKM