【本書の紹介】
非上場株式の評価に関しては、まずは法人税等の申告書をベースに作業を進めることになりますので、相続税の資料収集とは異なり、ある程度のベースがあります。相続税の申告の場合には、被相続人はすでに亡くなっていますのでその財産を本人に確認することはできませんが、非上場株式の場合、会社の経理担当者がいれば資料収集はスムーズに進みます。
また、会社所有の資産負債を法人税法上の評価額から相続税評価額に再評価するという手続きとなりますので、相続税の資料収集と重なる部分も多数あります。そのため、ある程度のコツをつかめばそこまで難しくはありません。また、一度その会社の評価を行ってしまえば、その後は評価額の更新をしていくだけになりますので、時間をかけずに評価することができます。
しかし、はじめて評価を行う場合には、どのような資料を集収すればよいか、資料のどの部分を確認すればよいか判断が難しく一苦労です。
本書においては、非上場株式の資料収集の入門書として、原則的な評価方法からその評価にあたって必要な資料の収集、特に、評価に重要な影響を及ぼす不動産の資料収集や分析を中心に解説しています。
さらに、第2版においては第5章を追加し、実際に資料を収集して株価評価ができるようになった後に行う基本的な株価分析についても解説しています。
【著者プロフィール】
木村英幸
税理士法人レディング 代表社員。
税理士 行政書士。
1981 年茨城県生まれ。明治学院大学経済学部経済学科卒業後、複数の税理士事務所、税理士法人おおたかでの勤務を経て、2017年に個人事務所を開業。
2021年に税理士法人レディングと経営統合して同法人の代表社員就任。相続・事業承継対策、相続税申告、組織再編、税理士からの相談対応など資産税コンサルティング業務を行っている。また、事業承継に関連したセミナー講師を多数行っている。
【目次】
第1章 非上場株式の評価の必要性
1 非上場株式の特色
2 非上場株式の評価の必要性
3 顧問税理士としての立場
4 株式の評価方法
5 株価算定における準備資料
第2章 株主・会社規模の判定と評価方法の選択に必要な資料
1 同族株主の判定
2 会社規模の判定
3 特定の評価会社の判定
第3章 原則的評価方式において必要な資料
1 類似業種比準価額方式
2 純資産価額方式
第4章 特例的評価方式において必要な資料
第5章 株価引下げの分析と税務上の株価
1 会社規模区分による引下げ
2 利益対策による引下げ
3 比準要素数1の会社の回避方法
4 純資産価額について
5 所得税法・法人税法上の評価
6 税務上の株価の考え方のまとめ