序論 なぜいまここで風景構成法なのか?(浅田剛正)
はじめに
1.いまここの視座と内的参照枠
2.現代に生きる私たちにとっての風景構成法
3.言語に明示されない「何か」が紡ぐ臨床文化
4.風景構成法の「所作」と「作法」
5.心理療法としての風景構成法はどこを向くのか
6.「儀礼性」とイニシエーションの視座
7.まとめ――なぜわたしが風景構成法を語るのか?
第一部 風景構成法研究の視点
第1章 施行手順と体験過程 (松下姫歌)
はじめに――風景構成法の概要と本稿の目的
1.風景構成法の施行手順の概要とその検討
2.風景構成法の背景にある問題意識――言語による囚われからの解放
3.風景構成法の体験過程を支える枠組み
第2章 風景構成法と箱庭療法(高嶋雄介)
1.風景構成法と箱庭療法のはじまり
2.風景構成法や箱庭療法に取り組む際の現代的な問題
3.クライエントにとっての風景構成法と箱庭療法
おわりに
第3章 技法としての選択――用具と枠づけ,場づくり(大谷真弓)
はじめに
1.技法としての選択
2.用具について
3.場づくり
4.枠づけ
おわりに
第4章 風景構成法の表現の生成過程 (大山泰宏)
はじめに
1.表現のプロセスの再考
2.風景構成法の固有の基本的特徴
3.風景構成法の生成のプロセス
4.風景構成法の流儀
第5章 風景構成法における物語生成――描かれる物語の必然性という観点から(浅田恵美子)
1.風景構成法のなかの物語
2.物語の舞台
3.物語る主体
4.描画後の物語
5.ただ「在る」物語・描かれない物語
6.描画の必然性
第6章 彩色に込められたもの(清重英矩)
はじめに
1.風景構成法の特徴と彩色過程の位置づけ――素描風景を「補完」する
2.彩色による表現の意味
3.彩色過程におけるやりとり
おわりに――「彩色に込められたもの」のこれから
第7章 描画後の対話からの深まり(中野江梨子)
はじめに
1.先行研究のレビュー
2.風景構成法体験に関わるイメージの性質・定義・研究方法の工夫
3.PDI による風景イメージ体験の変容に関する調査研究
おわりに
第8章 発達という視点からみた風景構成法(古川裕之)
はじめに――発達に伴う描画表現の変化
1.臨床研究と発達研究の交わるところ――表現心理学の立場から
2.児童期から青年期にかけての発達に関する研究
3.高齢者に関する研究
4.発達障害に関する研究――統合失調症者の表現と異なるのか
5.関係づけという軸,奥行立体表現という軸――規定する要因は何なのか
6.風景構成法の技法的意味に立ち返った上での発達研究――個別法調査,縦断的研究の必要性
おわりに
第9章 風景構成法の読みとりと見立て(松井華子)
はじめに
1.普遍性へのまなざし
2.描き手の存在を描き出す――「普遍性」と「個別性」の総合としての解釈と見立て
おわりに
第10 章 表現の深層で動くイメージ(樫村通子)
はじめに
1.内界のポリフォニーと,言語の背景に動くポリフォニー
2.文脈依存性とポリフォニー
3.創造時における自我の退行と進行
4.言語の創造過程と風景構成法の創造過程
5.表現の深層で動くイメージ――ポリフォニーのカーニバル化と超越機能
6.風景構成法の創造
7.風景構成法という心理療法
おわりに
第二部 風景構成法論
第11 章 臨床と関係性(山﨑基嗣)
はじめに
1.新型コロナウイルスと心理臨床
2.何が「臨床」なのか
3.「聴く」ことと関係性
4.臨床における「関係」と「関係性」
5.「関係」のレベル
6.あるエピソード
7.臨床の知
8.臨床と関係性における「身体性」
9.声の身体性
10.関係性を生成するものとしての「声」
11.関係性と「イメージ」
12.風景構成法における臨床と関係性
おわりに
第12章 風景構成法と事例の理解(豊原響子)
はじめに
1.B との出会いと描画まで
2.木と風景
3.川を眺める
おわりに
第13章 風景構成法とセラピストのコミットメント(吉田 明)
はじめに
1.セラピストのコミットメント
2.枠とマーブリング
3.事例
4.風景構成法とセラピスト
おわりに
第14章 子ども臨床における風景構成法の現在(佐々木大樹)
1.児童福祉領域における課題と風景構成法
2.事例
第15章 現在の精神科医療現場と風景構成法(國﨑貴弘)
1.「現代的なこころのあり方」と精神科医療
2.なぜ風景構成法なのか
3.事例の提示
おわりに
第16章 風景構成法から見た「病い」の意味(西岡真由美)
はじめに
1.糖尿病という病いと風景構成法
2.事例
3.「病む人とともにある」ことの実践としての風景構成法
第17章 身体性と描画表現(篠田亜美)
はじめに
1.事例①――描画をとおして身体を体験する
2.事例②――描画に現れる身体性
おわりに
第18章 「文化」の点から今日の風景構成法を考える(岩城晶子)
はじめに
1.風景構成法と文化
2.風景構成法と時代性
おわりに
第19章 風景構成法の学び(平子侑里絵・大村枝里・山岸礼門)
1.枠
2.感じる
3.眺める
4.言葉にする
5.グループ活動の意義
6.風景構成法の学びに向けて
第20 章 風景構成法に学ぶ「技」の熟達過程とその「業」(浅田剛正)
はじめに
1.心理臨床家の熟達過程と「守破離」
2.風景構成法の「守」――技の内在化と「身」につくこと
3.風景構成法の「破」――想像力と個別性に開かれる
4.風景構成法の「離」――自らを律する「業」として
おわりに――技(わざ)に学び業(ぎょう)をなすこと
終論 風景構成法の現在(いま)(皆藤 章)
1.風景構成法のいのち
2.風景構成法を知る――体験的認識
3.心象風景
4.風景構成法の背景と源流を辿る
おわりに
編者あとがき(皆藤 章)