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もんじゅの夢と罪

旧動燃幹部の妻と熊取の研究者の「闘い」

著:細見 周

紙版

内容紹介

動燃幹部はなぜ死んだのか

1995年12月、高速増殖炉もんじゅでナトリウム漏れ火災という重大事故が起きた。日本中が騒ぎ立つなか、批判の矢面に立たされた動燃幹部が謎の死を遂げる。ホテル8階からの飛び降り自殺とされたが、その死には不可解な点があった…。本書は、夫の死の謎を追い続ける妻と、もんじゅに反対し続けた原子力研究者・小林圭二の、それぞれの闘いを通し、もんじゅが抱えた夢と罪を描き出す。国策の深き闇に迫る、力作ノンフィクション。

目次

序章 あの日何が起きたのか

第一章 夢の高速増殖炉  
「増殖」の夢 原研への国内留学 原研と動燃 二人の出会い 臨界集合体と伊方訴訟 高速増殖炉の危険性 再処理に関する日米交渉

第二章 もんじゅ訴訟  
原子力安全問題ゼミ 東海村への転勤 もんじゅの「公開ヒアリング」 高速増殖炉をめぐる国際情勢 もんじゅ訴訟の提起 チェルノブイリ原発事故の放射能測定 行政訴訟の「原告適格」 福井での単身赴任 「原告適格」のゆくえ 不都合な真実 証人喚問 最高裁判決とあかつき丸寄港 核燃料サイクルと著書出版

第三章 もんじゅナトリウム火災事故  
大地震ともんじゅ 行政訴訟の証人尋問 運命のナトリウム火災事故 事故の真相 さらなる隠蔽の発覚 深まる闇 破綻への秒読み 三回の会見 成生の死 盛大な葬儀 もんじゅ訴訟の現場検証 不可解な対応 事故の再現実験 爆発事故と「安全性総点検」 残っていたレントゲン写真 「高温ラプチャー」

第四章 生き残りをかけた闘い
動燃から「核燃料サイクル開発機構」へ 秘密の報告書 孤独な調査 もんじゅ訴訟の地裁判決 名古屋高裁金沢支部での控訴審 カサブランカの花 設置変更許可申請と結審 高裁勝訴と退官講演 「犯罪被害者給付金」の申請 もうひとつの「もんじゅ訴訟」提起 最高裁の口頭弁論、そして判決 二〇〇六年の証人尋問 福井での全国集会

第五章 もんじゅの終焉
もんじゅの運転再開 炉内中継装置の落下 三・一一と福島第一原発事故 「脱原発」ともんじゅ 戻らない遺品 もんじゅで一万件の点検漏れ 闘病の日々 遺品返還訴訟 もんじゅ廃炉の決定 遺品訴訟のその後 終の棲家 終わらない闘い

あとがき  
参考文献
関連年表

著者略歴

著:細見 周
細見 周(ほそみ・しゅう)
1963年京都生まれ。上智大学文学部卒。ジャーナリスト。主に環境問題、戦後補償問題について取材を続ける。著書に、『熊取六人組 反原発を貫く研究者たち』(岩波書店、2013年)、『されど真実は執拗なり 伊方原発訴訟を闘った弁護士・藤田一良』(岩波書店、2016年)がある。

ISBN:9784409241417
出版社:人文書院
判型:4-6
ページ数:270ページ
定価:2200円(本体)
発行年月日:2021年08月
発売日:2021年08月30日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KN
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:THY