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一つの惑星、多数の世界

気候がもたらす視差をめぐって

著:ディペシュ・チャクラバルティ
訳:篠原 雅武

紙版

内容紹介

人新世における生存可能性への問い

温暖化、豪雨、山火事、パンデミックなど、加速する異常気象による数々の出来事は、地球という一つの惑星システムと、政治的分断を抱える人間世界との間に、深刻な亀裂をもたらしている。この危機に向き合うためには、人間と人間ならざるもの、そして自然に関する認識すべてを根幹から再考し、新たな存在の関係性を立ち上げる必要がある。人文科学研究の立場から人新世の議論を牽引する著者が、ラトゥール、ハラウェイ、デ・カストロなどとの対話的関係のなかで示す、新たな思想の結晶。

「多様で対立し合う人間の集団が、提示された惑星的な行動の行程表のまわりで一緒になるとしたら、それはどのようにしてであろうか。私は、対立している立場との類縁関係を作り出し、誰であれ他の人とは完全には一緒にならないだろうということを理解するという思想が、こういったわけのわからない時代において私たち自身を導くにあたって何らかの役にたつことを期待する。」(本書より)

◎目次
序章 惑星的なものと政治的なもの

第一章 パンデミックと私たちの時間感覚
 パンデミックと人間の歴史の大加速
 現在主義としてのパンデミック
 政治的なものを周縁化する

第二章 人間を含めた諸事物の歴史性
 ポストコロニアルの歴史と近代という解放への展望
 近代の歴史哲学への挑戦としての人間‐事物
 人新世の歴史方法論上の困難

第三章 現在のうちにとどまる
 絡み合いと差異――近代、後期の近代、非近代
 原初の近代、後期の近代、非近代
 混乱のうちにとどまる――近代化と人間の苦境
 知的に類縁性をつくりだす
 結尾

目次

はじめに

序章 惑星的なものと政治的なもの

第一章 パンデミックと私たちの時間感覚
 パンデミックと人間の歴史の大加速
 現在主義としてのパンデミック
 政治的なものを周縁化する

第二章 人間を含めた諸事物の歴史性
 ポストコロニアルの歴史と近代という解放への展望
 近代の歴史哲学への挑戦としての人間‐事物
 人新世の歴史方法論上の困難

第三章 現在のうちにとどまる
 絡み合いと差異――近代、後期の近代、非近代
 原初の近代、後期の近代、非近代
 混乱のうちにとどまる――近代化と人間の苦境
 知的に類縁性をつくりだす
 結尾

謝辞

訳者あとがき

人名索引

著者略歴

著:ディペシュ・チャクラバルティ
【著者】ディペシュ・チャクラバルティ
Dipesh Chakrabarty/1948年生まれ。インド出身の歴史学者。シカゴ大学教授。ベンガル地方の労働運動史やサバルタン研究から出発。主著に、Provincializing Europe: Postcolonial Thought and Historical Difference (2000)、The Climate of History in a Planetary Age (2021)など。地球規模の気候変動や人新世をめぐる議論の世界的先駆者である。2014年トインビー賞、2019年タゴール賞受賞。邦訳に『人新世の人間の条件』(早川健治訳、晶文社、2023年)。論文に「急進的歴史と啓蒙的合理主義」(臼田雅之訳、『思想』1996年1月)、「マイノリティの歴史、サバルタンの過去」(臼田雅之訳、『思想』1998年9月)、「気候と資本」(坂本邦暢訳、『思想』2018年3月)など。
訳:篠原 雅武
【訳者】篠原 雅武(しのはら・まさたけ)
1975年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。博士(人間・環境学)。現在、京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定准教授。著書に『公共空間の政治理論』(人文書院、2007年)、『空間のために』(以文社、2011年)、『全‐生活論』(以文社、2012年)、『生きられたニュータウン』(青土社、2015年)、『複数性のエコロジー』(以文社、2016年)、『人新世の哲学』(人文書院、2018年)『「人間以後」の哲学』(講談社選書メチエ、2020年)。訳書に『いくつもの声』(ガヤトリ・C・スピヴァク著、共訳、人文書院、2014年)、『社会の新たな哲学』(マヌエル・デランダ著、人文書院、2015年)、『自然なきエコロジー』(ティモシー・モートン著、以文社、2018年)、『ヒューマンカインド』(ティモシー・モートン著、岩波書店、2022年)など。

ISBN:9784409031308
出版社:人文書院
判型:4-6
ページ数:240ページ
定価:2700円(本体)
発行年月日:2024年01月
発売日:2024年01月26日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:QD