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技術の完成

著:フリードリヒ ゲオルク ユンガー
訳:F・G・ユンガー研究会

紙版

内容紹介

技術文明の本質を多方面から根本的に考察し、ハイデガーにも影響を与えた技術批判論の重要作、本邦初訳。

「近代のエコロジー論争を先取りした、驚嘆するほどに広い視野を持つ本である」(社会学者シュテファン・ブロイアー)

当翻訳はF・G・ユンガー研究会による共訳である。メンバーは以下のとおり。

監訳者(五〇音順):担当章の翻訳と全体の統括・点検・修正
今井敦(龍谷大学)
桐原隆弘(下関市立大学)
中島邦雄(水産大学校)

翻訳担当者(参加順):担当章の翻訳と他章の点検
島浦一博(九州国際大学)
能木敬次(日本経済大学)
福山美和子(ドイツ語通訳)
熊谷エミ子(龍谷大学非常勤講師)
西尾宇広(慶応大学)
小長谷大介(龍谷大学)
稲葉瑛志(京都大学非常勤講師)

アドヴァイザー:翻訳の点検および全般的助言
飯森伸哉(龍谷大学非常勤講師)
増田靖彦(龍谷大学)
川野正嗣(京都大学大学院生)

各章の当初の翻訳担当者は下記のとおりであるが、研究会形式で翻訳を進め、共同作業で修正と推敲を重ねたため、いずれの章の翻訳にも多くのメンバーが関わっている。全体のとりまとめと最終的な点検・修正・推敲は今井、桐原、中島の三人が行った。

目次

緒言

一 〔技術とユートピア〕
二 〔労働とゆとり〕
三 〔富と貧困〕
四 〔技術的組織と損失経済〕
五 〔技術による収奪と合理性〕
六 〔経済的思考の技術的思考への敗北
七 〔エコノミーと大地の掟〕
八 〔自動化の増大と時間〕
九 〔技術的搾取過程の基盤としてのデカルト理論〕
一〇 〔ガリレイ=ニュートン力学が時間概念に及ぼす影響〕
一一 〔自然科学と機械化された時間概念〕
一二 〔死んだ時間〕
一三 〔歯車装置としての技術〕
一四 〔決定論と統計的蓋然性〕
一五 〔意志の非自由性〕
一六 〔労働の専門化と細分化、労働者の諸組織〕
一七 〔労働問題の成立〕
一八 〔機械と労働者組織、労働者の失意〕
一九 〔労働者と搾取、安全性〕
二〇 〔意図的な技術と意図的でない技術、目的論と力学〕
二一 〔因果論的思考と目的論的思考の協働〕
二二 〔技術的合目的性の限界〕
二三 〔機械機構と人間組織の相互関係〕
二四 〔機能主義と自動化〕
二五 〔技術的組織と他の諸組織、技術と法〕
二六 〔科学と技術〕
二七 〔技術的組織と貨幣・通貨制度〕
二八 〔技術的組織と教育〕
二九 〔技術と栄養摂取〕
三〇 〔技術的人間組織による国家の機械的改変〕
三一 〔科学的悟性の収奪的特徴〕
三二 〔科学的真理の概念〕
三三 〔技術の消費力と惑星規模の組織化、恒常的革命の時代、工場の稼働事故〕
三四 〔技術的完成の概念〕
三五 〔技術と大衆形成〕
三六 〔機械機構とイデオロギー・俳優〕
三七 〔イデオロギーと剥離〕
三八 〔動員(流動化)としての技術〕
三九 〔ローマ史の理論〕
四〇 〔技術とスポーツ〕
四一 〔映画のメカニズム〕
四二 〔自動化の麻酔的魅力〕
四三 〔惑星規模で組織化された収奪、総動員、総力戦〕
四四 〔欠乏諸組織の課題〕
四五 〔ライプニッツ、カント、ヘーゲルの哲学〕
四六 〔機械的進歩と根源的退行〕
補遺 世界大戦

内容外観

訳者解説1「技術をめぐる交友、ユンガー兄弟とハイデガー」今井敦
訳者解説2「エコロジーの書としての『技術の完成』」中島邦雄
訳者解説3「フリードリヒ・ゲオルク・ユンガーにおける社会思想の視座」桐原隆弘

訳注

著者略歴

著:フリードリヒ ゲオルク ユンガー
フリードリヒ・ゲオルク・ユンガー Friedrich Georg Jünger/1898‐1977年。ドイツの詩人、小説家、思想家。同じく作家であったエルンスト・ユンガーの三歳下の弟。第一次世界大戦に志願兵として出征、西部戦線で負傷したあと、大学で法律を修めたが、文筆活動に入る。文学作品に『罌粟』(詩)『ダルマツィアの夜』(短編集)『第一行程』(長編)『二人の姉妹』(長編)『ハインリヒ・マルヒ』(長編)、回想記として『緑の枝々』『年の鏡』、批評に『ナショナリズムの行進』『ギリシアのミュートス』『ニーチェ』『言語と思考』などがある。

ISBN:9784409031018
出版社:人文書院
判型:4-6
ページ数:338ページ
定価:4500円(本体)
発行年月日:2018年10月
発売日:2018年10月17日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:QDT