認知症の人を支えるデザインのちから
からだとこころの変化を補い、暮らす環境を整える
本書は、認知症者・高齢者対象の生活づくりを実践している工業デザイナー、環境アドバイザー、建築家の3名が、認知症になっても、元々持っていた能力を上手に引き出し、自分の力を活かして暮らしていける生活の工夫を提案する。認知症の人を支える介護施設や家庭にとって、どんなことを考えて環境を整えればよいのかがわかる一冊。
[内容紹介]
はじめに …間瀬樹省
INTRODUCTION
人生100年時代。認知症になってもその人の望む暮らしを継続できる環境を整える …佐々木淳
CHAPTER 0
本文に入る その前に
CHAPTER 1
認知症の家族を支えた経験でわかった生活のデザイン …山崎正人
PROFILE
今日のデザインの役割
わが家の環境づくりと展開
家族が記憶を補う工夫の出発点はみな同じ
メモは表示物になり日記になった[視覚伝達系デザイン]
日記で心が落ち着き、自信が回復できる[視覚伝達系デザイン]
「行ってらっしゃい」を支える環境づくり
凄いぞ、回想コーナー! 居場所づくりとその効果について[空間系デザイン][視覚伝達系デザイン]
「押す」「押さない」で生活の質が変わる[道具・視覚伝達系デザイン][道具系デザイン]
ひとりでトイレに行き、排泄するための環境
今は外出しなくても大丈夫なことを知らせる[視覚伝達系デザイン][道具系デザイン]
安心と安全は目に入る情報の整理から
母が自分の孫と楽しく暮らせる環境づくり
不快にならずに口腔ケアする工夫
ヘルパーさんとの良好な関係をつくる
義父の自立を支える
ひとりから複数の環境づくりへ
衣 食 住 「居」のデザインが要となる
衣 食 住 「食」にまつわる環境づくりと工夫
衣 食 住 身支度に関する環境づくりと工夫
前頭側頭型認知症の利用者がみんなと過ごすための工夫
レビー小体型認知症の利用者の環境配慮
ヒト・モノ・コトをつなげて良い刺激をつくる
認知症のある人を支えるテクノロジー
COLUMN_1
有事の際の運営側の初動を見ると震災前の施設の日常が見えてくる …山崎正人
CHAPTER 2
認知症の人が心から安心できる空間のデザイン …間瀬樹省
PROFILE
大切なのは「快適」で「安心」できる環境づくり
認知症の人が使いやすい環境づくりの心構え
環境づくりにユニバーサルデザインを活用する
認知症の人の大問題「外に出てしまう」への対応
「落ち着いて過ごせない」「歩きまわる」への対応
利用者同士のトラブルへの環境的対応
「お風呂に入りたくない」を少なくする浴室の工夫
認知症高齢者でも使いやすい浴室の具体例
なるべく最期まで自分でできるトイレの工夫
認知症高齢者でも使いやすいトイレの具体例
落ち着いて眠れて安心して過ごせる居室づくり
認知症高齢者が使いやすい収納と洗面の工夫
食べるだけじゃない食事の工夫と環境
認知症高齢者も食事しやすい家具の工夫
コミュニケーションと自分の役割に配慮した環境づくり
高齢期の身体機能と配慮について
住まいの基本性能を高めて快適に暮らす
転倒・骨折による入院を防ぐ工夫
COLUMN_2
デザインを必要とした施設の願い …山崎正人
CHAPTER 3
認知症の人を支える介護施設の場のデザイン …山下総司・間瀬樹省
PROFILE
自分でできることを可能にする環境づくりの大切さ
楽しみは生活のなかにある
「じりつ」を引き出す
有意義な生活・暮らしのために
自分でできることはやってもらう
やりたいことの確認
暮らしにおけるさまざまな活動
やりたい活動ができた効果
五感を刺激する環境づくり みる(視覚)
五感を刺激する環境づくり きく(聴覚)
五感を刺激する環境づくり かぐ(嗅覚)
五感を刺激する環境づくり たべる(味覚)
五感を刺激する環境づくり ふれる(触覚)
地域とつながる施設
地域とつながるきっかけづくり
コンビニエンスストアとつながる
仕事でつながる
農業とつながる
見守り活動でつながる
つながりによって生まれること
最後に
おわりに …山崎正人