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ベートーヴェン症候群

音楽を自伝として聴く

著:マーク・エヴァン・ボンズ
訳:堀 朋平
訳:西田 紘子

紙版

内容紹介

ベートーヴェンの交響曲に彼の「人生の苦悩」を、モーツァルトのソナタに「母を喪った悲しみ」を――病的なまでに音楽に作曲家の自己のほとばしりを聴こうとする「ベートーヴェン症候群」。過去200年にわたって「聴取」に大きな影響を及ぼしてきたこの「病」の実態を解き明かす。

原著タイトル
The Beethoven Syndrome
Hearing Music as Autobiography

目次

序  器楽による自己

第I部  客観的表現のパラダイム――1770~1830年
第一章  修辞学の枠組み
 表現は説得手段/作曲家は役者/ミメーシス
第二章  主観的表現の受容へ
 芸術は自己を覗く窓/情念という特権/抒情詩
第三章  作品のうちに作曲家を聴く
 ファンタジー/フモールとイロニー/客観性の時代におけるベートーヴェンの主観性

第Ⅱ部  主観的表現のパラダイム 1830~1920年
第四章  解釈学の枠組み
 誠実さを聴く/予言を聴く
第五章  一人称のベートーヴェン
 修辞学から解釈学へ/ハイリゲンシュタットの遺書/伝記
第六章  アフター・ベートーヴェン
 書かれた人生/耳で聴く人生/形式 vs. 内容/のちの作曲家/主観性は過去へも影響する/二つのカテゴリー

第Ⅲ部  共存する二つのパラダイム――1920年以降
第七章  客観性の回帰
 作曲家はカメレオン/作曲家は霊媒師/作曲家は技術者(エンジニア)
第八章  今もつづく主観性

結び  彗星を追って

著者略歴

著:マーク・エヴァン・ボンズ
Mark Evan Bonds(マーク・エヴァン・ボンズ)

ノース・カロライナ大学チャペル・ヒル校ケアリー・C・ボッシマー卓越教授(音楽学)。専門は18・19世紀の西洋音楽、とりわけ器楽の美学と理論。ハーヴァード大学でハイドンのソナタ形式における疑似再現の問題を扱った論文(1988)で博士号を取得。その後、『ソナタ形式の修辞学』(原著1991、土田英三郎訳、音楽之友社)、ベートーヴェン以後の交響曲創作の問題に照準した『アフター・ベートーヴェン』(原著1996)を上梓。1800年頃の聴取をめぐる『「聴くこと」の革命』(原著2006、近藤譲・井上登喜子訳、アルテスパブリッシング)では、本書の「修辞学から解釈学へ」に通じる転換も論じられている。『絶対音楽――ある理念の歴史』(原著2014)は近年のきわめて重要な著作。年刊誌『ベートーヴェン・フォーラム』(ネブラスカ大学出版局)の編集主幹も務めた。
訳:堀 朋平
住友生命いずみホール音楽アドバイザー、国立音楽大学ほか講師。2013年、東京大学大学院博士後期課程修了(美学芸術学専攻)。博士(文学)。著書『〈フランツ・シューベルト〉の誕生――喪失と再生のオデュッセイ』(法政大学出版局)、共著『バッハ キーワード事典』(春秋社)、訳書ヒンリヒセン『フランツ・シューベルト――あるリアリストの音楽的肖像』(アルテスパブリッシング)、共訳書ロックウッド『ベートーヴェン』(春秋社)、バドゥーラ・スコダ『新版 モーツァルト――演奏法と解釈』(音楽之友社)など。演奏家との交流をとり入れた講演・解説にも力を入れている。
訳:西田 紘子
九州大学大学院芸術工学研究院准教授。2009年、東京藝術大学大学院音楽研究科博士後期課程修了(音楽学専攻)。博士(音楽学)。著書『ハインリヒ・シェンカーの音楽思想――楽曲分析を超えて』(九州大学出版会)、編著『ハーモニー探究の歴史――思想としての和声理論』、共訳書シェンカー『ベートーヴェンのピアノ・ソナタ批判校訂版――分析・演奏・文献』シリーズ(以上、音楽之友社)、ボンズ『ベートーヴェン症候群――音楽を自伝として聴く』(春秋社)など。オーケストラ団体の研究や演奏研究、批評活動も行っている。

ISBN:9784393932223
出版社:春秋社
判型:4-6
ページ数:424ページ
定価:3500円(本体)
発行年月日:2022年04月
発売日:2022年04月20日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:AVA