出版書誌データベース

北海道から九州まで名勝・秘湯をめぐり、田舎道のわきのうら寂びた温泉宿を愉しみ、千葉や茨城の隠れた魅力、ふと出会った人との淡い交流と永遠の別れ、失われつつある日本の情緒を、郷愁とともに、写真と文で現世にとどめようとする、一人の男の旅の記録。

旅――逃避と創造　まえがきにかえて

第１部　日本風景抄
風景抄
　一　潮来付近
　二　五浦付近
　三　養老渓谷
　四　伊豆
　五　箱根
　六　奥日光
　七　合掌造りの里
　八　房総の海
　九　旅人たち
　十　山陰と山陽
　十一　沼
　十二　北海道
　十三　上越線に沿って
　十四　京都
　十五　奈良
　十六　庄内
　十七　会津
　十八　風景拾遺

風景抄番外
　一　伯父さんの画帳
　二　車中の人
　三　地霊

第２部　日本紀行（抄）――二〇〇三年から
西日本編
　一　長崎物語
　二　水辺の光景――柳川、佐原、下田
　三　遥かなる温泉津
　四　投入堂登攀記――三徳山三仏寺
　五　天然と人工

中部編
　一　越前の海
　二　御柱祭
　三　大沢館と中の湯
　四　千曲川いざよふ波の――中棚温泉、高峰高原

関東編
　一　北温泉旅館
　二　積善館
　三　房総の鉱泉宿――養老渓谷温泉と亀山温泉
　四　嫁入り船と鰻
　五　海と岩と砂――鵜原理想郷と平砂浦
　六　茨城の海
　七　鉱泉宿――横川鉱泉
　八　紅葉の渓谷を訪ねて――母畑温泉、塩原の散歩路
　九　イリュージョンは商売になる

北日本編
　一　縄文と湖と渓流
　二　療養浴の人々
　三　大平温泉――うーん秘湯だ
　四　滑川温泉
　五　行き止まりの佳さについて

第３部　日本の紀行文
　あとがき――この本の成り立ちについて
　口絵目次
　資料編
　付記
　初出一覧

著：佐子 武
1945年、千葉県市川に生まれる。千葉大学工学部工業意匠（工業デザイン）学科卒業。株式会社講談社出版研究所に入社。百科事典の編集に携わる。その後、住宅会社の研究所に移り、住まいに関する書籍を編集。随筆家、写真家、書籍編集者。著書に『夢幻論――「死なない」思想』（春秋社）、『四畳半再生記』(智書房)、『おじさんの骨董論』(智書房)など。編集作品に「住まいの文化誌シリーズ」全17巻（ミサワホーム総合研究所刊、日本図書館協会選定図書、平成４年に建設大臣表彰）がある。