星を見る人
日本語、どん底からの反転
著:恩田 侑布子
紙版
内容紹介
ことばの手ざわり、肌ざわりに誘われ、情感の深みへ――。
芭蕉、蛇笏、久保田万太郎、石牟礼道子、荒川洋治、井筒俊彦、草間弥生・・・・・・
絶滅危惧種となった風合いある表現に、ゆらぎ、渦巻き、なりかわる、こころ・からだ・いのち。
芸術選奨文部科学大臣賞・ドゥマゴ文学賞俳人による五感を震わせる評論!
――格差社会で、核保有大国とそれ以外、富と権力を持つ者とそれ以外が分断されたように、人間の生と死も分断され、引き裂かれる。こうした近代以降の危機のなかで、痩せ細りジャンク化していく文化と言葉に全体重で抗って、生きて愛して表現してきた芳醇な人々がいる。しんじつの人間の声を、詩・俳句・美術・思想に刻んで、わたしたちのしょんぼりしがちな精神に滋養を与えてくれるゆたかな作品がある。(はじめにより)
目次
はじめに
序 星を見る人
I 近代を踏み抜いて 『石牟礼道子全句集 泣きなが原』
II 皮膜と「興」 草間彌生と荒川洋治
III やつしの美 久保田万太郎の俳句
IV エロスとタナトスの魔境 飯田蛇笏
V 戦争、エロスの地鳴り 三橋敏雄
VI 社会性俳句・巣箱から路地に 大牧広
VII 美への巡礼 黒田杏子
VIII 現代俳句時評
IX 草田男と霊感
X 渾沌と裸 井筒俊彦『意識と本質』から
XI 新説『笈の小文』 切れと感情の大陸
あとがき
初出一覧