シュタイナー社会論入門
[2]『社会問題の核心』を読む
著:高橋 巖
内容紹介
「経済」原則が「精神」と「法」の生活領域を侵してはならない……。独創的な「社会有機体三分節化」の構想をもとに現代人の生活要求に応えるあらたな社会関係を志向する試み。自由な精神生活を実感し、能動的に生きるためのシュタイナー社会思想の精華。
目次
『社会問題の核心』を読む
第一講 私たちが変わると社会が変わる
第二の身体としての社会有機体/社会意志はどうすれば形成できるか/社会問題の根底にある精神生活の危機/世界の似姿としての人間の身体/社会論としての『ダンス・ダンス・ダンス』/社会有機体の三つの分野/私たちが変わると社会が変わる/能動的な態度の育成―シュタイナー教育/反社会的な状態を作り出すもの/現代の経済生活における基本問題/雇用関係のあるべき姿
第二講 グローバリゼーションの行方
生き物としての社会とその仕組み/新自由主義・グローバリゼーションの正体/グローバリゼーションに立ち向かう「市民社会」/精神生活、法=国家生活、経済生活における基本原理/近代プロレタリアの精神生活/「全身当事者主義」で社会問題を考える/プロレタリアの真の要求
第三講 現代人の精神生活
女性文化と男性文化/われわれの内面を支配する自然科学/精神世界からの疎外/たてまえとなった精神生活/近代プロレタリアの自己矛盾/魂を空洞化するマルクス主義/あらゆるものの商品化
第四講 神智学と社会問題
社会を支配する経済生活と法=国家生活/社会の根底としての精神生活/自分の思考や感情や判断力を愛する/社会問題を人生の根底から問うための神智学/社会問題に向き合う二つの観点/ロバート・オーエンの試み/神智学が示す「社会の主要法則」/社会感覚をどう身につけるのか/社会の根底に精神生活を
第五講 社会の根底にある日本文化
社会に対する実感を持つこと/ヨコの文化としての日本文化/現代日本の危機―佐藤優の分析/すべての社会の根底にある根本思想に立ち戻る/社会制度の矛盾と変革への意志/資本主義と社会制度と精神生活/労使間における共同体的意識/資本主義の理想の先にあるもの
第六講 日常生活の精神化
無縁社会の原点としての家/現代の思考習慣と日常生活/精神生活と経済生活をつなぐ/資本の役割と活用/私的所有の未来/変化する社会有機体/生産手段の私的所有について/貨幣価値の寿命に関する試論/分業の本質/「連携」の展開―国際関係と社会有機体思想/日本の役割
孤独と共同体
あとがき