シュタイナー社会論入門
[1]『社会の未来』を読む
著:高橋 巖
内容紹介
人間の尊厳のための「第二のからだ」として社会を構想する「社会有機体三分節化」論。
真に生活要求に応える新たな社会像はいかにして可能か。現代ベーシック・インカムの源流ともいうべき独自の構想を展開するシュタイナー社会思想を今日的視点から読み解く。
目次
社会論への序 社会の中の私、私の中の社会
『社会の未来』を読む
第一講 精神の問題としての社会論
ベーシック・インカム思想の源/唯物論を超えた社会主義は可能か/能動的な社会理論に向けて/社会感覚のイデオロギー化/超イデオロギーとしての文明論/教育こそ社会教育の出発点/財の価値と労働力の意味
第二講 経済生活――労働の価値
シュタイナーの社会主義観/悪しき人類という観点に立つということ/生命体としての社会―社会有機体三分節化の視点/経済生活と精神生活/教育の課題、教員の使命/社会主義体制の問題/技術文明の台頭/貨幣経済の陥穽/労働力は商品ではない
第三講 法生活――社会感覚の共有
社会の恩恵/経済生活と精神生活の離反/経済生活から精神生活を自立させる/能力と意志―社会主義の要求/法の原点―感情の相互作用からはじまる/民主主義の領分/経済と法がひとつになるとき/労働と生きがい/自分の意志で社会関係を拡げる
第四講 精神生活――自由と個と沈潜
真理は一つではない/個人の立場に立つ/無力感からの脱却/自由とは何か/知的謙虚さという態度/意志の表現としての芸術/出会いとしての宗教/未来の教育の姿/新しい精神への憧れ―チェルニンからのメッセージ
第五講 精神と法と経済の調和に向けて
生活実践としての社会思想/社会有機体三分節化をめぐる議論/財の価値と商品価値/精神生活における自由の復権/ゲーテアヌムでのベーシック・インカム会議/国家生活と法/精神生活が社会的影響を担う/法と経済の癒着/法と道徳の分断/連携組織―全体意志の証し
第六講 国民生活と国際生活
ゲッツ・ヴェルナーの経営哲学/個別意志の堆積と全体意志/ヨコ社会と国際理解/エゴイズムと愛/民主主義と国際主義/共同利益社会(統合社会)をつくる/科学的社会主義の迷妄/個に徹し普遍を得る/霊的な立場を深める
社会の生命化とベーシック・インカム