はじめに
現代という課題と「大きな物語」の再生
山崎闇斎の略歴
序章 闇斎思想の本質と意義に関する枠組み
一 本書の動機と目的
二 本書の構成と主な方法論、または視点の概説
三 関連する先行研究の概観
第I部 〈 風土論 〉
第1章 山崎闇斎の神学思想における基盤としての「共時性」の考察――『大和小学』から見える「山王」との関係性とレンマ的視点からの再評価について――
はじめに
一 ライフサイクルにおける『大和小学』の位置づけ
二 『大和小学』の記述と「近い距離感」について
三 「近い距離」考察のための準備
四 二つの「共時性」と闇斎神学における検証
おわりに
第2章 「山王」を母胎とする「神仏習合」形成と「統合的神学」展開――「日吉の申し子」の系譜:最澄から山崎闇斎に至る「ミーム」の進化論――
はじめに
一 「聖地」比叡山の「山王」的環境と「ミーム」概念の導入
二 「山王ミーム」の始原と形成――古代から中世前期まで
三 「山王ミーム」から「統合神学」への変異――中世後期から近世初期まで
四 「山王型」統合神学のイデオロギー化と山王ミームの終息――近世江戸期
第3章 垂加神道と吉田神道との「遠い距離」について――山崎闇斎の「ライフサイクル」論と「伊勢神道」を補助線として――
はじめに
一 山崎闇斎の求道的ライフサイクルの概観
二 山崎闇斎のライフサイクルと吉田神道への距離感
三 吉田神道への批判――伊勢神道の観点から
四 垂加神道と吉田(吉川)神道との関係性
おわりに
第II部 〈 身心論 〉
第4章 闇斎神学における心身論的課題と比較思想的展開――近世と近代の「グローバル意識」から心身観の系譜を探る――
はじめに――二十世紀前半からの「心身論百年」の潮流を概観する
一 メルロ=ポンティの身体論と日本への影響の事例
二 近世初期の心身論の背景
三 「近世的」心身観の誕生と山崎闇斎の統合の道
四 闇斎の心身論の基盤的概念とアプローチ
おわりに
第5章 近世近代移行期における心身を基盤とした発達論的比較考察――山崎闇斎とメーヌ・ド・ビランの「身体と魂」の文脈より――
はじめに
一 フランス哲学におけるビラン哲学とその構造的特徴
二 三つの発達区分と対応する学問的枠組み
三 心身論的領域の探求――理性と身体性の統合
四 超越論的領域の探求――高次の受動性と恩寵/慈悲による統合
おわりに――心身論から形而上学へ
第6章 「敬義内外」説と「神儒兼学」における闇斎神学の構造――主に「静坐」を通しての心身論的視点からの探求――
はじめに――問題と意義
一 「敬義内外」説を巡る心身観の位相
二 「静坐」の概念と闇斎門下の受容
三 「静坐」の超越的体験の事例とその構造
四 「静坐」の限界と神道実践の導入による超克への探求
五 「神儒兼学」の成立と構造の仮説モデル
おわりに――心身論(「敬義内外」説)から統合学(「神儒兼学」)へ
第III部 〈 超越論 〉
第7章 宗教思想家の内面的「葛藤」と「超克」プロセスの構造と解釈 ――山崎闇斎の神学形成を事例とした生涯発達心理学と宗教哲学的視点から――
第8章 井筒俊彦の「神秘哲学」導入による闇斎神学思想の再評価について ――主に『日本書紀』神代巻の構造と解釈を通しての試論――
第9章 井筒俊彦の啓示類型論から見る「心神との対話」構造と解釈 ――『日本書紀』から山崎闇斎の神学に至る比較思想的探究――
補章1 「永遠の哲学」と関連概念について ――「神秘哲学」「天人合一」「天人唯一」を例とした検討――
第四部〈 特論 〉
特論1 山崎闇斎の神道神学思想と近世前期の朝幕関係の解釈について ――分掌・天上論、大政委任論、天海(山王)論の観点から――
特論2 デカルト「理神―理性」と闇斎「心神―大和魂」概念の変容を概観する ――近世近代のグローバル期展開における西欧と日本の思想的共有リズムの観点から――
特論3 生成論と心身論と超越論の神学的統合への準備 ――東方キリスト教の「神化」思想と山崎闇斎の「神垂冥加之人」におけるアナロギア――
特論4 道を開きし者・山崎闇斎が見た風景 ――変容プロセスと元型としての陰陽五行論――
補章2 統合・体系学としての近代「神学」の構想と構造の事例 ――ティリッヒ神学思想からの覚書――
終章 「私たちに見える風景」と三つの窓 ――「風土論」「身心論」「超越論」――
あとがき
初出一覧
索引