君ならわかる哲学
著:古牧 徳生
内容紹介
確実な知識の探求だった哲学が、なぜ雲をつかむような難解晦渋な代物になったのか。犯人は誰か。スター哲学者はもとより、ヘレニズム哲学・スコラ哲学も丁寧に説明し、古代ギリシアから現代哲学まで人間理性の軌跡を追体験できる、これまでにない哲学入門。
目次
まえがき
第1講 ソクラテスまで
哲学という名前の由来
イオニアの自然哲学
パルメニデスの難問
多元論者たちの回答
ソクラテスの登場
第2講 プラトン
▶略歴
初期対話篇 ▶そのもの ▶想起と魂の不死
中期対話篇 ▶死の練習 ▶イデア ▶洞窟の喩え ▶イデアの困難
後期対話篇 ▶在るとはどういうことなのか ▶真なるドクサ
第3講 アリストテレス
▶略歴
著作
学問とは原因についての知識
自然
転化
可能態と現実態
四つの原因
地上界と天上界
不動の動者
哲学のすすめ
第4講 懐疑主義と神秘主義
懐疑主義 ▶古懐疑派 ▶中懐疑派 ▶新懐疑派
神秘主義
プロチノス ▶略歴 ▶一者と流出 ▶魂の還帰 ▶神秘的合一
第5講 キリスト教の登場
ヘブライズム
グノーシス主義
ユスティノス
テルトリアヌス
アレクサンドリアのクレメンス
第6講 アウグスチヌス
▶略歴
回心するまで ▶聖書への失望とマニ教 ▶懐疑と権威 ▶新プラトン主義との出会い
回心してから ▶権威の必要性 ▶照明説 ▶知解を求める信仰
第7講 信仰か理性か
哲学から神学へ
理性主義の台頭と反発
アンセルムス ▶略歴 ▶信仰の合理的理解 ▶神の存在論的証明
アベラルドゥス
第8講 神学と哲学
大学の発生
托鉢修道会の出現 ▶ドミニコ会 ▶フランシスコ会
アリストテレスの流入 ▶翻訳の世紀 ▶世界の永遠性 ▶神の摂理 ▶能動知性の単一性
アリストテレスの学説に対する規制
ブラバントのシゲルス
トマス・アクィナス
ボナベントゥーラ
第9講 神学の失墜
トマスへの反発 ▶再度の禁止令 ▶抽象説 ▶抽象説の問題点と修正
ドゥンス・スコトゥス ▶略歴 ▶知性の対象 ▶個物化の問題
オッカムのウィリアム ▶略歴 ▶唯名論 ▶災厄をもたらす学説
第10講 世界観の激変
敬虔主義 ▶近代的敬虔 ▶最後のスコラ学者
世界の拡大
天動説から地動説へ
宗教改革 ▶ルター ▶カルバン ▶宗教戦争
懐疑の復活
第11講 デカルト
▶略歴
学問への不満
方法的懐疑
心身問題 ▶心身二元論 ▶エリザベト王女の疑問 ▶動物精気
第12講 大陸の合理説
神と精神と物体
マルブランシュ ▶略歴 ▶叡智的延長 ▶機会原因論
スピノザ ▶略歴 ▶汎神論 ▶神の属性 ▶すべては神の現れ ▶心身問題への回答
ライプニッツ ▶略歴 ▶モナド ▶モナドは知覚している ▶神もまたモナド ▶予定調和
ド・ラ・メトリ ▶略歴 ▶二元論の霊魂観への批判 ▶人間機械論
第13講 イギリス経験論
経験主義
ロック ▶略歴 ▶観念の起源 ▶単純観念から複合観念がつくられる ▶生得観念の否定 ▶一次性質と二次性質 ▶ロックによる神の存在証明
バークリー ▶略歴 ▶精神と観念 ▶存在しているものは精神と観念だけ ▶外界は神において存在する
ヒューム ▶略歴 ▶知覚には印象と観念がある ▶霊魂の否定 ▶神の否定 ▶観念連合 ▶法則の否定 ▶哲学の行き詰まり
第14講 カント
▶略歴
著作の意図 ▶独断のまどろみ ▶コペルニクス的転回
ア・プリオリな総合判断 ▶ア・プリオリな認識 ▶ア・ポステリオリな認識
感性と悟性 ▶感性の直観形式は時間と空間 ▶悟性の思惟形式はカテゴリー
理念 ▶カテゴリーの超越的使用 ▶アンチノミー
理念の意味 ▶自然に無駄はない ▶人間には自由がある ▶神と霊魂の必要性
第15講 ドイツ観念論
フィヒテ ▶略歴 ▶自我と非我 ▶神と人間の幸福
シェリング ▶略歴 ▶主観的観念論から客観的観念論へ ▶先験的観念論 ▶自然 ▶芸術
ヘーゲル ▶略歴 ▶矛盾と弁証法 ▶論理学 ▶自然哲学 ▶精神哲学
第16講 ヘーゲル以後
唯物論哲学 ▶フォイエルバッハ ▶マルクス
生の哲学 ▶ショーペンハウアー ▶キルケゴール ▶ニーチェ
神のいない哲学 ▶20世紀の潮流 ▶君ならわかる哲学
あとがき
索引(人名索引・事項索引)