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魔法少女はなぜ変身するのか

ポップカルチャーのなかの宗教

著:石井 研士

紙版

内容紹介

まどか☆マギカやプリキュアの華麗な変身。でも魔法使いサリーは変身していなかった。「らき☆すた」のかがみとつかさ、ラブライブの希など巫女が多いのはなぜ? アニメ・マンガに溢れる宗教表象とその変遷をたどり、現代文化と宗教性の絡みあいを解く。

目次

序 章

第1章 魔法少女はなぜ変身するのか
1 魔法少女の発生と展開 「魔法使いサリー」
  魔法と「変身」/魔法少女のはじまり/なぜ「魔法使い」サリーだったのか/「奥さまは魔女」/『魔法のつえ』/「オバケのQ太郎」/「魔法使いサリー」の魔法/「魔法使い」というイメージ/「魔法」の矮小化・無力化/矛盾する魔法/「魔法使いサリー」から「ひみつのアッコちゃん」へ
2 魔法による変身は何をもたらすのか 「ひみつのアッコちゃん」
  魔法少女としての「ひみつのアッコちゃん」/アッコちゃんの魔法/変身による能力/原作マンガからの改変/「魔法」か、それとも日常か/魔法少女の展開
3 戦闘美少女と魔法 「セーラームーン」と「プリキュア」
  はじめに/「セーラームーン」研究史/「美少女戦士セーラームーン」とは/「変身」と「変装」/「変身」できる理由と力の獲得/「変身」とは/変身と日常性の回復/プリキュアシリーズと魔法/魔法少女シリーズとしての「プリキュア」のコンセプト/プリキュアシリーズでの配慮/プリキュアの「変身」/制作者にとっての「魔法」/魔法は解けるのか
4 「魔法少女まどか☆マギカ」の衝撃
  「魔法少女まどか☆マギカ」を支持したのは誰か/魔法少女という絶望/神もしくは救世主としての「まどか」

第2章 巫女と神社
1 ポップカルチャーのなかの神道
  宗教者たち/ポップカルチャーにおける神社・巫女/神社という設定/情報空間の中の鳥居/高層の神殿/巫女/能力者としての巫女/ローカリティとしての巫女・神社
2 「らき☆すた」と聖地巡礼
  聖地化する神社・巫女/鷲宮神社への聖地巡礼/リアルとフィクションの間で/聖地巡礼のその後
3 ポップカルチャーのなかの宗教
  「敵」としてのキリスト教(的?)/新興宗教・カルト/宗教団体のイメージ

第3章 異界と転生
1 異界、他界、異世界
  「異界」「異世界」という言葉/「他界」を描くアニメ/ドラゴンボールの死生観/ドラゴンボールとは/「ドラゴンボール」に見る宗教性/死と再生/鬼灯の冷徹/「鬼灯の冷徹」の地獄・極楽/地獄とは/地獄もしくは鬼/百鬼夜行/なぜブームになったのか/「妖怪」の範囲/異世界ブームの異界/学生の反応/異界の喪失
2 人々は転生に何を見るのか?
  「転生」騒動/手塚治虫『火の鳥』にみる輪廻転生/「輪廻転生」をモチーフとするマンガ・アニメ/「自覚する」もしくは「記憶」を取り戻す/精霊による告知もしくは認知/変身そして不思議な力の発動/仲間/「伝統的な」生まれ変わり/前世探しブームの到来/日本での前世探しブーム/飯田史彦『生きがいの創造』

終 章
  宗教団体のメディア利用/宗教を扱うマンガ/ポップカルチャーの宗教表象/失われゆく宗教儀礼の残照として

あとがき

著者略歴

著:石井 研士
1954年、東京に生まれる。東京大学大学院人文科学研究科宗教学・宗教史学専攻博士課程単位取得満期退学。東京大学文学部助手、文化庁宗務課専門職員を歴任。現在、國學院大學神道文化学部教授。博士(宗教学)。専門は宗教学・宗教社会学、研究テーマは現代社会と宗教。著書に『銀座の神々――都市に溶け込む宗教』(新曜社)、『社会変動と神社神道』(大明堂)、『結婚式――幸せを創る儀式』(NHK出版)、『データブック現代日本人の宗教 増補改訂版』(新曜社)、『渋谷学』(弘文堂)、『日本人の一年と一生――変わりゆく日本人の心性[改訂新版]』(春秋社)など多数。

ISBN:9784393291627
出版社:春秋社
判型:4-6
ページ数:320ページ
定価:2400円(本体)
発行年月日:2022年06月
発売日:2022年06月17日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:QRA