はじめに
Ⅰ
第一章 摩多羅神と夢の女人――壇上遊戯としての恋
摩多羅神と比叡山常行堂
東照大権現と摩多羅神
有知山剋果『摩多羅神考』の奇想――摩多羅神曼荼羅から
「竹枝の詞」から中国湖南の聖廟へ
黄陵廟と二人の妃――韓愈と屈原と
唐の詩人、李群玉の「湘妃廟」――女人恋慕
杏花壇は玄旨壇なりき
夢の妙童菩薩をめぐって
摩多羅神の正体
Ⅱ
第二章 毛越寺の二十日夜祭
常行堂と芸能の神
献膳・常行三昧供・蘇民祭
第三章 毛越寺の摩多羅神と芸能――「唐拍子」をめぐって
「呼立」と「唐拍子」
「路舞」と「仏後の曲」
「唐拍子」と二童子
「呼立」と穀部屋
「作神さま」としての摩多羅神
Ⅲ
第四章 摩多羅神紀行――服部幸雄『宿神論』の向こうへ
摩多羅神への旅、あるいは摩多羅神の八〇年代
摩多羅神の「顕夜」へ
大いなる部屋
路舞=唐拍子をめぐって
宿神への遠近法
赤岡のシュクジさま
赤岡へ――絵金と芝居小屋
第五章 出雲の摩多羅神紀行(前篇)――遥かなる中世へ
はじめに
清水寺の摩多羅神を訪ねて
清水寺の常行堂とまぼろしの修正会
鰐淵寺へ
鰐淵寺の常行堂と摩多羅神
中世の常行堂と摩多羅神影向所
もうひとつの智春上人伝――三人の老翁譚
天正年間における諏訪大明神の勧請
第六章 出雲の摩多羅神紀行(後篇)――黒いスサノオ
はじめに
「影向山王」と影向摩多羅神
Ⅰ 摩多羅神=スサノオ説をめぐって
「異神」としてのスサノオ
唐川へ――摩多羅神=スサノオの葬地を訪ねて
摩多羅神への献膳作法
第二の葬地=鰐淵寺・熊成の峯
第三の葬地=日御碕・隠ヶ岡
黒いスサノオたち
Ⅱ 流着峰縁起と杵築する神――中世出雲神話
流着峰縁起――鰐淵寺の縁起
飛来峰縁起と流着峰縁起
宗教芸能の中の浮浪山とスサノオ
おわりに――杵築するスサノオ
Ⅳ
第七章 我らいかなる縁ありて 今この神に仕ふらん――常行堂と結社の神・摩多羅神
はじめに
Ⅰ 常行堂と隠れたる神
起請文と新入の作法
第三の空間としての「密蔵」
Ⅱ 修正会の祝祭空間と行事
三時の次第と「所作当て」
剋部屋での行事(一)――「経の題」・鏡・「三国各所」
剋部屋での行事(二)――「江東問答」と「懺悔」
Ⅲ 芸能の饗宴――摩多羅神の顕夜に
摩多羅神の顕夜
エボシの異装
おわりに――結願作法と牛王の授与
Ⅴ
第八章 大いなる部屋――修正会を超えて
常行堂――その運動性と空間性
Ⅰ 日光山と毛越寺常行堂の「部屋入り」――溶解する後戸空間
部屋入りの作法――日光山常行堂
毛越寺延年の「呼立」と「穀部屋」
Ⅱ 三河大神楽の「部屋」と「部屋入り」
花祭りと三河大神楽
神楽屋敷と「部屋」
みるめさま
「部屋入り」の作法と行事
花祭りの「切目の王子」
大神楽における「部屋入り」
大神楽の終結儀礼
消えた「こうぬし祭り」
Ⅲ ふたたび「ありやの浄土」へ
おわりに