はじめに
第1章 命が誕生する喜びの瞬間だったはずなのに―― 知られざる産科医療過誤の実態
医療事故発生の報告件数は年間6000件超
医療事故のうち医療水準から逸脱した行為が「医療過誤」
年間約800件の医療訴訟のうち産婦人科に関するものは5~6%
日本の周産期医療は世界トップクラスの安全性 それでも起こる医療事故
産科医療過誤の特殊性① “祝福・期待”から“悲劇”への落差が大きい
産科医療過誤の特殊性② 「母と子」2つの命が危険にさらされる
産科医療過誤の特殊性③ 死亡や重度障害など深刻な結果につながりやすい
産婦人科の病院選びもリスク回避では重要
大きな病院なら安心とは言い切れない
病院選びは慎重に
知っておきたい 子どもと家族を守る「産科医療補償制度」
重度脳性麻痺が「なぜ起こったか」を知るための原因分析報告書
第2章 医師のたった一つのミスが母子の命を危険にさらす 過誤を起こしても責任を逃れようとする医療機関
医療機関で事故が起きる背景
医療水準から外れた医療行為とは 産科の事例から考える
設備や人員の少ない小規模病院でのお産が多い
夜中でも休日でもお産は待ったなし
進む医師の働き方改革と産婦人科の再編
「医療過誤かも」と思ったら患者側ができること
説明拒否、ミス隠し、交渉の場に着かない……責任逃れの病院もある
少額の慰謝料で終わらせたいのが病院側の本音
納得がいかないときは弁護士に相談を
第3章 目の前の依頼者を助けたいけれど…… 知識や技術不足で力になれない弁護士たち
弁護士でもどんな紛争も解決できるわけではない
「医療裁判をしても患者側の言い分は認められない」は本当か
医療問題で闘える専門弁護士はまだまだ希少
法律相談から医療訴訟判決までの流れ
医療訴訟では「医療従事者の過失」と「因果関係」の立証が肝になる
産科の損害賠償額は1億円以上のことも
協力医とのネットワークも最善の結果を得るために重要な武器
損害賠償請求には「時効」がある点に注意が必要
第4章 その判決は本当に正しい? 被告側の主張に左右され判断を誤る裁判官
産科医院、弁護士に続く医療訴訟で重要な3つ目の壁は「裁判官」
医療過誤を認めて、世間の注目を集めたくないのが裁判所の心理
世間を騒がせた産科医療過誤事件「大野病院事件」が与えた影響とは
刑事訴訟には至らなくても警察への届出は多数ある
医師を「犯罪者」にすることの重み
そもそも裁判官は医療に詳しくない
担当裁判官の交代が裁判に影響することも
医療集中部の発足により医療裁判が迅速化
第5章 悲劇から立ち直る一歩を踏み出すために 医療裁判チーム専属の弁護士が解決してきた6つの事例
実際にあった産科医療過誤の事例と、家族それぞれの解決
【事例1】 帝王切開の遅れで新生児が重度脳性麻痺に 1億5000万円の示談成立
【事例2】 周産期管理ミスで新生児が窒息し重篤な脳障害に 1億7000万円で訴訟上の和解
【事例3】 一審で敗訴した案件を引き受け、高裁で7400万円の逆転勝訴的和解
【事例4】 感染症のある妊婦で子どもに軽度麻痺が生じた事例 調停で500万円
【事例5】 内科で処方された解熱鎮痛薬を飲み、胎児死亡 500万円で和解成立
【事例6】 一人医師の産院に複数の急患が集中、後回しにされた胎児が死亡 4000万円で和解成立
第6章 産科医療過誤は突然起こる 正しい知識で“もしも”に備える
治療や分娩を医師任せにしない 命は自分で守る意識を
どんなに予防や対策をしても、巻き込まれるのが医療事故の怖さ
信頼できる弁護士に出会うには 弁護士選びで大切な5つのポイント
弁護士を信じて任せることもスムーズな解決では重要
おわりに