当時の学校体系を知らずして、近代小説を語るべからず。
夏目漱石、二葉亭四迷、坪内逍遙、田山花袋、川端康成……
名だたる文豪たちによる、明治・大正時代の日本を舞台にした名作を、
学歴という観点から徹底的に分析。
根底にある社会構造を理解したとき、作品の本当の姿が顔を出す。
欧米文学との差異に着目して生まれた、日本文学研究の新たなかたち。
「たかが学歴、されど学歴」
【目次】
第一章 日本近代文学の出発点に存在した学校と学歴
―東京大学卒の坪内逍遙と東京外国語学校中退の二葉亭四迷
第二章 私学出身者による官学批判
―徳冨蘆花『思出の記』
第三章 夏目漱石の学園小説(その一)
―『坊っちゃん』
第四章 夏目漱石の学園小説(その二)
―『三四郎』
第五章 明治時代の女学校と女学生
―野上弥生子『森』
第六章 札幌農学校とは何だったのか
―有島武郎『星座』
第七章 中学校卒という学歴の意味
―田山花袋『田舎教師』
第八章 最高のエリート校だった第一高等学校
―久米正雄『受験生の手記』と川端康成『伊豆の踊子』
第九章 専門学校の青春
―伊藤整『若い詩人の肖像』と小樽高商