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経済学部生のための数学

高校数学から偏微分まで

著:小杉 のぶ子

紙版

内容紹介

【書籍の趣旨,特徴】
経済学部に進学して,ミクロ経済学やマクロ経済学といった理論経済学の講義を受講している学生の中には,「文系で,数学が苦手な自分にとって,内容が難しくて理解できない」と感じている方々が少なからずいます。本書はこのような学生に向けて書かれたものです。
本書を通じて,経済学部で必要となる基礎的な数学の知識や概念を身につけてもらい,経済学への理解と興味を深めてもらうことを目的としています。
入門レベルの理論経済学の講義で用いられる数学のうち,最も重要なのは微分ですが,高校で習う関数や数列,確率の知識なども必要となります。このため本書では,微分と偏微分に加え,経済学部で最低限必要と思われる数学の内容について,高校数学の内容から抽出したものも取り上げています。中学校で学んだ知識さえあれば読み進められるように,高校数学の内容についても詳しく説明しています。さらに,各章末にコラムを設け,本書で学ぶ数学が経済学の分野でどのように用いられているかについて紹介しています。また,定理や公式の導出過程を知りたい読者のために,それらの簡単な証明も載せました。
以上を踏まえて,全体の構成は以下のとおりとしています。

【構成】
第1章では,高校で学ぶ内容から,連立方程式,不等式,1次関数,2次関数,指数関数,対数関数,分数関数,無理関数など,経済学で必要となる方程式と関数の知識を抽出してまとめました。
第2章では,等差数列,等比数列,数列の和などの基礎的な知識から始まり,経済学で欠かせない無限等比級数や漸化式についても説明しています。
第3章では,1変数関数の微分の基本的な考え方を扱います。経済学では最適化問題の解法に微分を用いますが,その際に必要となる数学の基礎的な知識について説明します。大学で開講される「微分積分」の授業で扱う微分全般について取り上げています。
第4章では,多変数関数の微分(偏微分)を扱います。偏微分の考え方について説明し,2変数関数の極値問題の解法について述べています。
第5章では,確率の概念や基本的な性質について説明し,離散的な値をとる確率変数について扱っています。
最後に付録として,集合や場合の数の概念,1変数関数の積分と連続的な値をとる確率変数,ならびに代表的な確率分布について簡単に紹介しています。これらについては,必要に応じて参照する形で活用してください。

【著者からのメッセージ】
本書では多くの例や例題を載せ,演習問題も設けています。自分で問題を解くことで理解が深まるので,ぜひ挑戦してください。本書と出会った読者が数学に慣れ親しむことで,経済学の授業をより楽しめるようになることを願っています。

目次

1.関数と方程式
1.1 整式の計算
 1.1.1 指数法則
 1.1.2 展開と因数分解
1.2 分数式と無理式
 1.2.1 分数式
 1.2.2 無理式
1.3 1次方程式と1次不等式
 1.3.11 次方程式
 1.3.2 連立方程式
 1.3.3 1次不等式
 1.3.4 連立不等式
1.4 2次方程式
 1.4.12 次方程式の解の公式
 1.4.2 2次方程式の解の種類の判別
1.5 高次方程式
 1.5.1 整式の割り算と剰余の定理
 1.5.2 因数定理
 1.5.3 高次方程式の解法
1.6 1次関数と直線の方程式
 1.6.1 関数とグラフ
 1.6.2 1次関数
 1.6.3 直線の方程式
 1.6.4 連立1次方程式とグラフ
 1.6.5 不等式と領域
1.7 2次関数
 1.7.12 次関数のグラフ
 1.7.2 グラフと2次方程式
 1.7.3 グラフと2次不等式
1.8 指数関数
 1.8.1 累乗根
 1.8.2 指数の拡張
 1.8.3 指数関数
1.9 対数関数
 1.9.1 対数
 1.9.2 対数の性質
 1.9.3 対数関数
 1.9.4 常用対数
1.10 分数関数
1.11 無理関数
1.12 逆関数
コーヒーブレイク:線形計画法
2.数列
2.1 数列
 2.1.1 数列
 2.1.2 数列の和の定義
2.2 等差数列
 2.2.1 等差数列
 2.2.2 等差数列の和
2.3 等比数列
 2.3.1 等比数列
 2.3.2 等比数列の和
2.4 和の公式
 2.4.1 和の記号Σ
 2.4.2 数列の和の公式
2.5 数列の極限
 2.5.1 数列の極限
 2.5.2 無限等比数列
 2.5.3 無限級数
2.6 漸化式
 2.6.1 階差数列
 2.6.2 漸化式
コーヒーブレイク:利息計算と数列
コーヒーブレイク:乗数効果と無限等比級数
3.1変数関数の微分
3.1 関数の極限
 3.1.1 関数の極限
 3.1.2 片側極限
 3.1.3 指数関数,対数関数の極限
 3.1.4 関数の連続性
3.2 微分係数と導関数
 3.2.1 微分係数
 3.2.2 導関数
3.3 整式の微分と応用
 3.3.1 整式の微分
 3.3.2 整式の微分の応用(接線,極値)
3.4 関数の積・商の微分法
 3.4.1 積の微分法
 3.4.2 商の微分法
3.5 合成関数と逆関数の微分法
 3.5.1 合成関数の微分法
 3.5.2 逆関数の微分法
3.6 対数関数と指数関数の導関数
 3.6.1 対数関数の導関数
 3.6.2 指数関数の導関数
3.7 高次導関数
3.8 微分の応用
 3.8.1 接線・法線の方程式
 3.8.2 平均値の定理*
 3.8.3 関数の増減と極値
 3.8.4 関数のグラフの概形
3.9 不定形の極限*
3.10 テイラーの定理*
 3.10.1 テイラーの定理*
 3.10.2 マクローリンの定理*
コーヒーブレイク:収益率の近似計算
4.多変数関数の微分
4.12 変数関数の極限
 4.1.12 変数関数とグラフ
 4.1.2 2変数関数の極限
 4.1.3 2変数関数の連続性
4.2 偏微分係数と偏導関数
4.3 高次偏導関数
4.4 合成関数の微分法
4.5 2変数関数の平均値の定理*
4.6 全微分
4.7 極値問題
4.8 陰関数
 4.8.1 陰関数定理
 4.8.2 陰関数の接線・法線
 4.8.3 陰関数の極値
4.9 条件付き極値
コーヒーブレイク:効用最大化と条件付き極値問題
5.確率
5.1 確率とその基本性質
 5.1.1 事象と確率
 5.1.2 確率の基本性質
5.2 条件付き確率と独立試行の確率
 5.2.1 条件付き確率
 5.2.2 ベイズの定理
 5.2.3 事象の独立と従属
 5.2.4 独立試行の確率
5.3 確率変数と確率分布
 5.3.1 確率変数
 5.3.2 確率分布
5.4 確率変数の期待値と分散
 5.4.1 確率変数の期待値
 5.4.2 分散と標準偏差
5.5 確率変数の和の期待値と分散
 5.5.1 確率変数の和の期待値
 5.5.2 独立な確率変数
 5.5.3 共分散と相関係数
コーヒーブレイク:リスクと標準偏差
付録
A.1 集合と命題
 A.1.1 集合
 A.1.2 命題と条件
A.2 場合の数
 A.2.1 場合の数の基本法則
 A.2.2 順列
 A.2.3 組合せ
 A.2.4 二項定理
A.3 1変数関数の積分
 A.3.1 不定積分
 A.3.2 定積分
 A.3.3 定積分と面積
 A.3.4 偶関数・奇関数と定積分
 A.3.5 無限区間における積分
A.4 連続型確率変数
 A.4.1 確率密度関数と分布関数
 A.4.2 連続型確率変数の期待値と分散
A.5 いろいろな分布
 A.5.1 二項分布
 A.5.2 ポアソン分布
 A.5.3 一様分布
 A.5.4 指数分布
 A.5.5 正規分布
索引

ISBN:9784339061284
出版社:コロナ社
判型:A5
ページ数:224ページ
定価:3000円(本体)
発行年月日:2023年10月
発売日:2023年10月13日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KCA