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計測・制御セレクションシリーズ 2

外乱オブザーバ

編:計測自動制御学会
著:島田 明

紙版

内容紹介

【読者対象】
 制御工学,モーションコントロールに関する理論や技術を学んでいる学生や社会人であって,古典制御理論の基礎をある程度学んだ人,そして現代制御理論についてもある程度知っている人を想定している。

【書籍の特徴】
 物を動かす際に,摩擦や重力,そして外力が物の動きを妨げることがある。総称して外乱と呼ぶ。外乱の値を推定できれば,制御系の安定性や追従性を向上させ,情報処理などに利用できるだろう。外乱の推定方法に「外乱オブザーバ」(disturbance observer,略してDOB)がある。外乱オブザーバ,および外乱オブザーバを併用した制御系は実用的な推定法・制御法として注目され,用いられてきたが,未だに体系的な解説書がない。これに対して本書は外乱オブザーバと併用制御系を体系的に解説した初の専門書である。

 具体的には,下記の構成となっている。
1. はじめに
2. 外乱オブザーバの基本 (伝達関数表現での解説,反力推定,2自由度制御など)
3. 既約分解を用いた安定化制御系と外乱オブザーバ
4. 状態空間表現の連続時間系外乱オブザーバ (同一次元,最小次元,高次外乱推定など)
5. ディジタル系の外乱オブザーバ (同一次元,最小次元,高次外乱推定など)
6. 振動系の外乱オブザーバ設計と制御 (2慣性系を用いた振動抑制制御)
7. 通信外乱オブザーバ (スミス法と通信外乱推定)
8. マルチレート外乱オブザーバ (複数の制御周期を持つシステムの外乱推定)
9. 外乱オブザーバ併用モデル予測制御 (モデル予測制御と組み合わせる方法)
10. 外乱推定カルマンフィルタ (観測ノイズがあるシステムの外乱推定)
11. 適応外乱オブザーバ (パラメータ,状態変数,外乱を全て推定)
12. 速度の計測・推定法

【著者からのメッセージ】
 読者が「外乱オブザーバ」を理解し,自ら活用できるようになってもらうための参考として,MATLAB/Simulinkを用いたサンプルプログラムを多く紹介しています。また,本書の執筆にあたり,原稿とプログラムを学部・大学院授業,研究室での勉強会で試用することで,不具合やわかり難さを改善する試みを重ねて来ました。本書が皆様の研究・開発等に役に立つことを心から願います。

目次

1.はじめに
1.1 外乱オブザーバの種類と制御系設計
 1.1.1 外乱オブザーバの種類
 1.1.2 オブザーバおよび制御系設計の考え方
1.2 例の形式とMATLABの利用
 1.2.1 例の形式
 1.2.2 MATLAB/Simulinkの利用
1.3 本書の構成と読み方
 1.3.1 本書の構成
 1.3.2 本書の読み方
2.外乱オブザーバの基本
2.1 外乱とは
2.2 外乱推定の仕組み
2.3 外乱除去制御と加速度制御系
 2.3.1 外乱除去制御と加速度制御系の考え方
 2.3.2 外乱の捉え方による外乱オブザーバの違い
 2.3.3 基本的な制御系設計
2.4 反力推定オブザーバ
2.5 内部モデル原理と2自由度制御系
 2.5.1 内部モデル原理
 2.5.2 フィードフォワード制御
 2.5.3 外乱オブザーバとフィードフォワードを併用する制御系
2.6 観測ノイズとモデル化誤差の影響
 2.6.1 観測ノイズの影響
 2.6.2 モデル化誤差の影響
2.7 実システムのモデリング
 2.7.1 DCモータのトルク制御モデル
 2.7.2 台車モデルと回転型モータの関係
2.8 ロバスト制御としての考え方
3.既約分解を用いた安定化制御系と外乱オブザーバ
3.1 既約分解と安定化制御器の導出
 3.1.1 既約分解のためのパラメータの導出
 3.1.2 安定化制御器と自由パラメータ
 3.1.3 Q(s)を含んだ二重既約分解
3.2 外乱オブザーバとの関係
3.3 既約分解と2自由度制御系の構成
4.状態空間表現での連続時間系外乱オブザーバ
4.1 連続時間系の同一次元入力端外乱オブザーバ
 4.1.1 連続時間系の同一次元入力端外乱オブザーバの設計法
 4.1.2 可制御性と状態フィードバック
 4.1.3 連続時間系の同一次元外乱オブザーバ併用サーボ系
4.2 連続時間系の同一次元反力推定オブザーバ
4.3 連続時間系の同一次元出力端外乱オブザーバ
4.4 同一次元高次外乱オブザーバの設計
4.5 最小次元外乱オブザーバと伝達関数表現への変換
4.6 周期外乱オブザーバの設計
4.7 可観測性と非入出力端外乱の扱い
 4.7.1 DCモータの数学モデル
 4.7.2 DCモータの可観測性行列とランク
 4.7.3 外乱推定の可観測性
 4.7.4 非入出力端外乱オブザーバと制御
5.ディジタル系の外乱オブザーバ
5.1 同一次元ディジタル外乱オブザーバ設計
5.2 分離定理の確認
5.3 最小次元ディジタル外乱オブザーバと伝達関数表現
5.4 同一次元高次ディジタル外乱オブザーバの設計
6.振動系の外乱オブザーバの設計と制御
6.12 慣性系のモデリング
6.2 伝達関数表現での振動抑制制御
6.3 2慣性系の外乱オブザーバ設計と安定化制御
 6.3.1 入力軸外乱τ_d1を推定するオブザーバ
 6.3.2 出力軸外乱τ_d2を推定するオブザーバ
6.4 2慣性系の外乱オブザーバ併用サーボ系
 6.4.1 入力軸外乱τ_d1を考慮した入力軸サーボ系
 6.4.2 出力軸外乱τ_d2を考慮した出力軸サーボ系
7.通信外乱オブザーバ
7.1 スミス法の概要
7.2 通信外乱オブザーバ
7.3 外乱のもとでの通信外乱オブザーバ併用制御
8.マルチレート外乱オブザーバ
8.1 マルチレート系のモデリング
8.2 マルチレート外乱オブザーバ:方法
 8.2.1 外乱オブザーバ設計
 8.2.2 マルチレートオブザーバを用いた制御系設計
8.3 マルチレート外乱オブザーバ:方法
9.外乱オブザーバ併用モデル予測制御
9.1 モデル予測制御
 9.1.1 モデル予測制御の概要
 9.1.2 MPC設計のための定式化と目的関数の定義
9.2 制約の記述法
 9.2.1 制御入力u(k)に関する制約の扱い
 9.2.2 制御量z(k)に関する制約の扱い
 9.2.3 制御入力の変化量Δu(k)に関する制約の扱い
 9.2.4 制御入力と制御量に関する制約の扱い
9.3 モデル予測制御系設計
9.4 外乱オブザーバ併用モデル予測制御系設計
10.外乱推定カルマンフィルタ
10.1 外乱推定カルマンフィルタ設計
10.2 外乱推定定常カルマンフィルタ設計
10.3 外乱推定拡張カルマンフィルタ設計
11.適応外乱オブザーバ
11.1 適応オブザーバの構造
11.2 適応外乱オブザーバのための可観測正準系の導出
11.3 状態変数フィルタの作成
11.4 Kreisselmeier型適応オブザーバの設計
12.速度の計測・推定法
12.1 速度計測の重要性
12.2 速度計測・速度推定手法
 12.2.1 擬似微分
 12.2.2 計数法・計時法
 12.2.3 M/T方式
 12.2.4 同期計数法
 12.2.5 瞬時速度オブザーバ
付録
A.1 数学的基礎
A.2 古典制御理論に基づく基本的な制御系
A.3 連続系の現代制御理論の基礎とオブザーバ
A.4 ドイルの記法と二重既約分解表現の確認
A.5 ディジタル系の現代制御理論の基礎とオブザーバ
A.6 最適計画法の表現と意味
A.7 描画プログラムの例
引用・参考文献
索引

ISBN:9784339033823
出版社:コロナ社
判型:A5
ページ数:284ページ
定価:4000円(本体)
発行年月日:2021年10月
発売日:2021年09月28日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:UY