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物理実験のためのアナログ回路入門

著:谷口 敬
著:笹尾 登
著:森井 政宏

紙版

内容紹介

実験科学においては、センサー(検出器)からの情報を毀損することなく、精確に増幅することが成功への鍵を握る。このために必要なアナログ回路はどうあるべきか?本書は、このような問題意識の下に、アナログ回路に初めて挑戦しようとする人々のために書かれた入門書である。
必要とされる知識は大学初年度程度の数学であり,トランジスタについても半導体の理論を前提とせず、簡単な実験に基づいて理解できるよう工夫している。エミッタ接地アンプの原理回路から入って,表紙に掲げたオペアンプまで,具体的な回路例によって設計能力を身に着けることを目標とした。高性能増幅器を実現するには「雑音」の性質を理解しなければならないが,この点でも第一原理からの説明を心掛けた。
本書の後半では,実践力の更なる向上を目指し,実際の実験に用いられた回路の例を多数とりあげて解説した。これにより物理実験を成功させたい―これが著者の願いである。

目次

1. アナログ回路の基礎事項
1.1 電子回路と検出器
 1.1.1 アナログ回路とディジタル回路
 1.1.2 検出器について
1.2 オームの法則とキルヒホッフの法則
 1.2.1 オームの法則と抵抗
 1.2.2 キャパシタとインダクタ
 1.2.3 キルヒホッフの法則
 1.2.4 直列接続と並列接続
 1.2.5 エネルギーの貯蔵と散逸
1.3 電子回路理論における複素数と複素インピーダンス
 1.3.1 複素表示の導入とその有用性
 1.3.2 複素インピーダンス
1.4 伝達関数とその応用
 1.4.1 伝達関数とは
 1.4.2 伝達関数の応用
1.5 電圧源と電流源・入出力インピーダンス・伝送線
 1.5.1 電圧源と電流源
 1.5.2 入出力インピーダンス
 1.5.3 伝送線
2. トランジスタの動作とその特性
2.1 ダイオード
2.2 トランジスタの基本的動作特性
2.3 アンプの基本構成
 2.3.1 電圧増幅段
 2.3.2 電力増幅段
 2.3.3 アンプの基本構成とその種類
 2.3.4 バイアスと負荷線
2.4 トランジスタのより詳しい特性
 2.4.1 電流増幅率
 2.4.2 エミッタ抵抗
 2.4.3 アーリー効果
 2.4.4 温度依存性
 2.4.5 端子間寄生容量
2.5 基本アンプの入出力インピーダンス
 2.5.1 入力インピーダンス
 2.5.2 出力インピーダンス
2.6 そのほかのトランジスタ
 2.6.1 PNP型BJT
 2.6.2 電界効果トランジスタ
3. トランジスタを組み合わせた基礎回路
3.1 差動アンプ
3.2 電流源と電流ミラー
3.3 カスコード接続
3.4 エミッタフォロワとプッシュプル出力回路
 3.4.12 段エミッタフォロワ
 3.4.2 プッシュプル出力回路
3.5 応用5倍差動アンプ
4. オペアンプと帰還回路
4.1 負帰還回路
 4.1.1 非反転増幅回路
 4.1.2 反転増幅回路
 4.1.3 仮想接地
4.2 高オープンループ利得アンプ
4.3 オペアンプの周波数特性と負帰還
4.4 負帰還アンプの発振
4.5 位相補償とスルーレート
4.6 エミッタフォロワの発振
5. 検出器用プリアンプ
5.1 素子が発生する雑音
 5.1.1 熱雑音
 5.1.2 熱雑音の公式の導出
 5.1.3 ショット雑音
 5.1.4 ショット雑音の公式の導出
5.2 等価雑音電荷
 5.2.1 等価雑音電荷の導出
 5.2.2 等価雑音電荷の最小化
5.3 プリアンプの基本回路
 5.3.1 ベース接地アンプ
 5.3.2 エミッタ接地アンプ
 5.3.3 JFET入力アンプ
5.4 BJTアンプとJFETアンプの比較
5.5 波形の整形
6. 回路設計の具体例
6.1 プリアンプの設計
 6.1.1 ベース接地プリアンプ
 6.1.2 エミッタ接地プリアンプ
 6.1.3 JFET入力プリアンプ
6.2 波形整形回路の設計
 6.2.1 ポール・ゼロ補償回路
 6.2.2 低速信号用積分回路
 6.2.3 高速信号用積分回路
 6.2.4 電流帰還を使った波形整形回路
 6.2.5 ベースライン再生回路
7. アンプの周辺回路と実装技術
7.1 プリアンプ入力保護回路
7.2 アナログ・ディジタル変換回路の例
 7.2.1 ディスクリミネータ
 7.2.2 A/Dコンバータ
 7.2.3 フラッシュ型ADC
 7.2.4 複数のA/D変換の組み合わせ同時使用
7.3 回路シミュレーションの有用性と限界
7.4 アンプの性能測定
7.5 検出器・アンプ系の発振
7.6 まとめアナログ回路技術の将来
付録A ラプラス変換とその応用
A.1 ラプラス変換とは
 A.1.1 ラプラス変換の定義
 A.1.2 ラプラス変換の特徴
A.2 ラプラス変換とその性質
 A.2.1 ラプラス対
 A.2.2 ラプラス変換の性質
A.3 ラプラス変換の応用
 A.3.1 微分方程式の初期値問題RC充電回路
 A.3.2 微分方程式の初期値問題直列RLC回路と減衰振動
 A.3.3 複素周波数領域におけるRLC線型素子
 A.3.4 回路解析におけるラプラス逆変換
付録B 半導体の視点から見たトランジスタ動作原理
B.1 pn接合とダイオード
 B.1.1 p型半導体とn型半導体
 B.1.2 pn接合
 B.1.3 ダイオード
B.2 トランジスタ
 B.2.1 トランジスタの構造
 B.2.2 トランジスタの動作原理
 B.2.3 トランジスタの動作モード
 B.2.4 アーリー効果
引用・参考文献
問の解答
索引

ISBN:9784339009828
出版社:コロナ社
判型:A5
ページ数:200ページ
定価:2600円(本体)
発行年月日:2022年03月
発売日:2022年03月07日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:TJF