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宗教精神病理学

著:大宮司 信

紙版

内容紹介

精神病理学と宗教学の架橋への試み

 精神病理学と宗教学は、それぞれ独自の対象を持ち、方法においても、学問としての成立過程においても異なっている。しかし、いずれも何らかの意味で人間の心をその対象とするという共通性があり、また治療やいやしと切り離せない領域でもある。従来からの病理という面はもちろん、こうした治療やいやしという側面も本書では取り上げ、両者の関係性および橋渡しの可能性を探求する。

目次

第1章 宗教と精神病理学
  1.宗教と精神医学・精神病理学の関連
  2.本書における宗教精神病理学とその領域
第2章 「宗教を精神病理学からみる研究」の視点の諸相
 第1節 はじめに
 第2節 方法論からの「視点」
 第3節 治療と癒しからの「視点」
第3章 精神の病理と宗教の「病理」
 第1節 はじめに
 第2節 幻覚
 第3節 妄想
 第4節 抑鬱(1):抑鬱と罪責感
 第5節 抑鬱(2):罪責感と自殺
 第6節 宗教の「病理」
第4章 精神のやまいと宗教の救済
 第1節 開教と継承:「おや」から「みおや」へ
 第2節 やまいから宗教家へ:「神仙の人」
 第3節 治癒から救済へ:悪魔憑きと神の国
 第4節 まとめ
第5章 精神病理学の方法論
 第1節 方法の吟味と対象の特定
 第2節 疾病性と事例性
 第3節 パースのプラグマティズムと精神病理学
第6章 二つの生
  1.はじめに:二つの生の概念
  2.二つの生の概念とwell being
  3.死と生:自殺をめぐって
  4.二つの生からみた宗教と精神医学
  5.むすび
第7章 全体のまとめ

著者略歴

著:大宮司 信
神奈川県生まれ。1975年3月北大医学部卒業、同精神医学教室に入る。実地臨床を経て教室に戻り、脳内ノルアドレナリン合成酵素に関する実験的研究で医学博士号を取得。アメリカシカゴ大学医学部精神医学教室メルツァー教授のもとで准教授としてα2アドレナリン受容体を用いた基礎的・臨床的研究に従事、帰国後北大医学部保健学科に勤務、同教授として2008年3月に定年退職し、北海道大学名誉教授。同4月北翔大学教育文化学部教授、現在に至る。現在の専門領域は精神病理学。主要な学会は日本精神病理学会で、同学会機関誌「臨床精神病理」編集委員長、学会長、理事などを歴任。単著として『憑依の精神病理』、『宗教と臨床精神医学』がある。臨床面では精神保健指定医、日本精神神経学会認定専門医・同指導医。(2020年8月現在)

ISBN:9784335651892
出版社:弘文堂
判型:A5
ページ数:224ページ
定価:5000円(本体)
発行年月日:2020年10月
発売日:2020年09月30日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MJ